ニューヨーク市長に対する起訴を「棄却」 米連邦地裁

アメリカ・ニューヨーク州の連邦地方裁判所は2日、ニューヨーク市のエリック・アダムス市長に対する起訴を恒久的に「棄却」した。トランプ米政権は先に、司法省に起訴を取り下げるよう指示していた。 マンハッタンの連邦判事は今回、司法省による申し立てを認めたが、この起訴を「棄却」としたことで、司法省が今後、同じ証拠に基づいてアダムス氏を再び起訴することを禁じた。 アダムス氏は、収賄や電信詐欺、違法な外国からの選挙寄付の勧誘など五つの罪で起訴されていたが、すべての不正行為を否定していた。 昨年9月にニューヨーク州南部地区連邦地方検察が提出した起訴状によると、アダムス氏はトルコ国籍の複数人から10万ドル(約1450万円)超の贈答品を受け取り、代わりに便宜を図ったとされる。 しかし、トランプ政権が任命したエミル・ボーヴ司法副長官代理が今年2月、アダムス氏に対する起訴を取り下げるよう検察に命令。この起訴が「違法移民と暴力犯罪」に対処するアダムス氏の能力を制限していると主張した。移民問題は、トランプ政権の重要な課題でもある。 この命令を受け、マンハッタンの検察トップだったダニエル・サスーン氏をはじめとする高官7人が、抗議して辞任した。検事らは、アダムス氏の起訴を取り下げる法的根拠がないと述べていた。 サスーン氏は、ボーヴ氏の上司であるパム・ボンディ司法長官への書簡で、アダムス市長のチームが「事実上の取引」を提案し、「起訴が取り下げられた場合にのみ」、アダムス氏は政権の政策を支援すると述べたのだと主張した。 ■司法省の論理には納得できないと判事 ニューヨーク南部地区連邦地裁のデール・ホー判事は、78ページにわたる厳しい判決のなかで、アダムス氏に対する起訴が、市長の移民取り締まり能力を妨げているという司法省の論理には納得できないと述べた。 また、「ここにはすべて取引のにおいがする。起訴の取り下げと引き換えに移民政策の譲歩が行われた」とした。 ホー判事は、起訴を恒久的に棄却することで、トランプ政権は今後、アダムス氏やニューヨーク市に対して起訴を「交渉材料」として利用できなくなると述べた。 「権利を侵害することなく起訴を棄却すれば、市長の自由が連邦政府が優先する移民取り締まりを実行するかどうかに依存し、市長が自分の有権者の願いよりも、連邦政府の要求に従うことになるという認識を生むことは避けられない」 司法省の報道官は、この事件を「(司法を)政治の武器とした一例であり、資源の無駄遣い」と呼んだ。「我々はテロリストの逮捕と起訴に集中し、司法省をアメリカ人の安全を守るという本来の使命に戻すことに注力している」と、報道官はCBSニュースに語った。 起訴が棄却された後、アダムス氏は記者団に対し、「この起訴はそもそもされるべきではなかったし、私は何も悪いことをしていない」と述べた。 ニューヨーク市では6月24日に市長選挙の予備選挙が予定されている。世論調査によると、アダムス氏は他の複数の民主党候補者にリードされている。 しかし、アダムス氏は再選を目指す意向を記者団に示し、「それに、私は勝つつもりだ」と述べた。 (英語記事 Judge permanently dismisses criminal case against NYC mayor)

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