カンボジアを拠点にした特殊詐欺に関与したとして、埼玉県警は8日、住所・職業不詳、山口哲哉容疑者(46)を電子計算機使用詐欺と窃盗容疑で逮捕した。捜査関係者によると、山口容疑者は暴走族グループ「関東連合」の元メンバー。県警は、東南アジアを拠点にした特殊詐欺グループのリーダーとみて調べる。 山口容疑者は日本側の協力要請を受けたタイ当局により3月にバンコクで身柄を拘束され、8日に飛行機で羽田空港に移送された。 逮捕容疑は、仲間と共謀して2022年9月15日午後6時ごろ、大阪市鶴見区の70代女性に「医療費の還付金がある」とうその電話をかけ、口座に現金約29万円を振り込ませてだまし取ったなどとしている。 カンボジア拠点の特殊詐欺を巡っては、現地当局が23年9月にプノンペンで活動していた日本人の詐欺グループを摘発。詐欺の電話をかける「かけ子」とみられる男性25人が日本に移送され、県警に詐欺容疑などで逮捕された。 県警によると、この摘発の後、プノンペンにいた別の詐欺グループがベトナムに逃走。男性8人が23年12月にベトナム当局に身柄を拘束され、県警に詐欺容疑などで逮捕された。 山口容疑者が以前プノンペンで経営していた日本料理店からは、詐欺グループの拠点に弁当が配達されていたという。また、ベトナムで拘束されて逮捕された一部の容疑者の供述や携帯電話の解析などから山口容疑者の関与が浮上したため、県警は山口容疑者が両グループに関与していたとみて調べていた。 タイ当局などによると、山口容疑者は3月14日、バンコク中心部のサトーン地区に借りていた家賃約18万バーツ(約75万円)のマンションで拘束された。約3000万バーツ(約1億2480万円)相当の仮想通貨(暗号資産)を所持していたという。 山口容疑者は24年から美術品を高額で取引する会社の運営に関与しており、タイ当局はマネーロンダリング(資金洗浄)に利用していた可能性があると指摘している。 捜査関係者によると、山口容疑者は以前、関東連合に所属しており、当時は「冨沢哲也」などの名前だったという。【田原拓郎】