「あなたは“トカゲの尻尾”じゃない」…“特殊詐欺”に罪の意識なく加担した少年に“反省”のきっかけを与えた「家裁調査官の“質問”」とは

この30年、減少傾向にあった少年事件の中で(ただし、令和4(2022)年を底としてやや増加傾向)、珍しく係属事件数が増加しているのが詐欺。その大半がカードすり替え詐欺などの特殊詐欺事件だ。 令和5(2023)年の特殊詐欺の認知件数は1万9038件、被害総額は452.6億円に上る(警察庁まとめ)。膨大な件数と金額だが、その一件一件に被害者がいて、加害者がいる。そして、加害者のなかには「少年」もいる。 少年たちは検挙されると、まず家庭裁判所に送致される。彼らに対し、なぜ自分が特殊詐欺という犯罪に加担してしまったのか、何が誤りだったのか、今後どうすべきか、などについて自分で考え、語らせるべく、粘り強く接するのが、家裁調査官である。 家裁調査官はどのように、少年たちの心の「闇」に迫っていくのか。現役の家裁調査官・高島聡子氏(京都家庭裁判所・次席家裁調査官)が自身の実務経験をもとに語る。 ※本記事は家裁調査官・高島聡子氏の著書「家裁調査官、こころの森を歩く」(日本評論社)より一部抜粋・再編集したものです。なお、記事中の具体的な事実関係はモデルとなった実際の事件とは異なるものに設定しています。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加