暴力団取材の第一人者として知られる鈴木智彦氏が書いた異色のピアノ本『ヤクザときどきピアノ』(CEメディアハウス)が、刊行から5年以上を経てなお読まれ続けている。 YouTube開設からわずか1年で7.3万人ものチャンネル登録者数を誇る「積読チャンネル」で紹介されて再ブレイクした他、NHKラジオ「高橋源一郎の飛ぶ教室」(2025年3月21日)でも取り上げられ、新たな読者を獲得した。ロングセラーになる本とは、口コミで広がるものである。なにせ、読めば必ず人に語りたくなる、喜びと愛に満ちた1冊なのだ。 ベストセラーとなった『サカナとヤクザ 暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う」』(小学館)は、取材に5年以上、取材費に数百万を費やして書き上げた。その仕上げの証言を得るために、根室のヤクザの元へ向かうが、2018年9月6日午前3時7分、北海道胆振東部地震が発生する。