指を切り落とされた被害者も、フランスで相次ぐ誘拐事件 暗号資産業界の関係者が狙われる

白昼のパリで、フランスの著名な暗号資産企業の経営者の娘が覆面姿の人物らに襲撃されるという事件が13日発生した。誘拐目的とみられ、犯行は未遂に終わったが、同様の事件がここ数カ月の間に少なくとも3件発生している。荒っぽい手口の誘拐事件が相次ぎ、フランスの暗号資産業界関係者の間で不安と怒りが広がっている。 暗号資産企業の幹部であるアレクサンドル・アイモニノさんは、防犯対策として日常生活を見直したという。アイモニノさんは公共交通機関の利用をやめ、同業者の会合にも参加せず、帰宅ルートは毎回変えるようにした。 アレクサンドル・アイモニノさん 「どうしても外出しなければいけないときは、安全のため目的地のできるだけ近くに駐車するようにしている。帰宅するときは同じ道やルートを避けるようしている。尾行されるのを防ぐためだ」 今年1月、暗号資産企業Ledgerの共同創業者とその妻が誘拐された。また5月には、別の企業幹部の父親が身代金目的で拉致された。いずれも救出されたが、被害男性2人はそれぞれ指を1本ずつ失った。 犯行グループの実態はいまだ解明されていない。Ledger事件では10人が事情聴取を受け、5月の事件では7人が逮捕されたが、うち2人は関与が認められず釈放された。ロイターの取材に対し、パリ地検はコメントを控えた。 関係者の中にはボディガードを雇うなど警備強化を検討する人も。また犯罪取り締まりの強化や、暗号資産の匿名性を高めるため規制緩和を求める声も上がっている。 ビットコインなどの暗号資産は近年価格が急騰し、新たな富裕層を生み出している。セキュリティの専門家は、財産を誇示するようなSNSの投稿や、「暗号資産は現金よりも資金洗浄が容易」との印象が、犯罪者を引き寄せている可能性があると指摘している。

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