孤立とは程遠いプーチン氏、BRICS首脳会議を自国で開催

(CNN) ロシアによるウクライナ侵攻から3年近くが過ぎ、ロシア政府に世界各国から非難の声が上がる中、同国のプーチン大統領が十数カ国以上のリーダーを集めて首脳会議を開催している。自身は全く孤立しておらず、支えてくれる国々による連合が生まれつつあることを示す強いメッセージを打ち出した形だ。 3日間の日程で行われる新興国グループ「BRICS」の首脳会議は22日、ロシア南西部の都市カザンで開幕した。ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5カ国で構成されていた従来のBRICSは今年、エジプトやアラブ首長国連邦(UAE)、エチオピア、イランを加えて拡大した。今回は拡大後に開かれる最初の首脳会議となる。 プーチン氏は22日、中国の習近平(シーチンピン)国家主席と会談し、その後で両国の提携がBRICS加盟国の関係構築のモデルになるべきだと主張した。 首脳会議にはこの他、インドのモディ首相、イランのペゼシュキアン大統領、南アフリカのラマポーザ大統領らが出席。加盟国以外からもトルコのエルドアン大統領をはじめ複数の首脳が参加する見通しだ。ブラジルのルラ大統領は、国内での負傷を理由に出席の予定を取りやめた。 2022年2月の戦争開始以降、プーチン氏が主催する国際会議としては格段に規模の大きなものとなる。結束に拍車がかかる当該の国々は、地球規模で起こる勢力均衡の変化に期待を寄せる。またロシア、中国、イランの各国政府にみられるように、米国主導の西側諸国に直接対抗する意向も示している。 プーチン氏並びに習氏ら近しい連携相手の首脳が3日間の会議で打ち出すとみられるのは、後者のメッセージに他ならない。つまり経済制裁と同盟によって孤立しているのは西側の方であり、「グローバル・マジョリティー(世界の多数派)」に属する国々は、米国による世界主導に異議を唱える自分たちの取り組みを支持しているとの内容だ。 18日の記者団への発言で、プーチン氏はBRICS加盟国の経済的、政治的影響力の増大を「否定できない事実」と称賛。BRICSの加盟国と同グループに関心を寄せる国々が連携すれば、「新たな世界秩序の重要な一要素となるだろう」と語った。ただBRICSが「反西側を掲げる同盟」だとの見方は否定した。 独ベルリンに拠点を置くカーネギー・ロシア・ユーラシア・センターのアレックス・ガブエフ所長は、「BRICS首脳会議は、まさしく(プーチン氏にとっての)贈り物だ」と指摘。各国のリーダーがカザンを訪れている状況にあって、ロシアの世界的な孤立を議論できないことが明らかになったと示唆した。 とはいえ、会議に参加する首脳らの観点、関心は多岐にわたることから、BRICSとして統一されたメッセージを発するのには実際のところ限界があるというのが識者の見方でもある。とりわけプーチン氏の望んでいるとみられる形での発信についてはそうだという。

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