「警察の捜査は違法」「うその自白を誘導」県に3100万円の賠償命令 元看護助手の冤罪 大津地裁

入院患者を殺害した罪で服役した後、無罪となった女性が、国と滋賀県を訴えていた裁判。大津地裁は警察の捜査の違法性を認め、県に損害賠償を命じる判決を言い渡しました。 約12年間の服役後、やり直し裁判で無罪となった西山美香さん(45)。捜査の違法性を訴え、国と滋賀県に損害賠償を求めた裁判の判決が17日言い渡されました、 22年前、滋賀県東近江市の湖東記念病院で入院患者の男性が死亡。当時、看護助手だった西山さんが、患者の人工呼吸器を外し殺害したとして逮捕され、1年以上にわたり警察の取り調べを受け、その後、懲役12年の有罪判決を受けました。 しかし―。 報告・松本健吾記者 「無罪です、再審無罪です。西山美香さんに無罪判決が言い渡されました」 患者が自然死だった可能性を指摘した意見書により、やり直しの裁判が行われ、西山さんの無罪が確定。 裁判所は、取り調べを担当した男性警察官が西山さんの恋愛感情を利用し、うその自白を引き出したことなども認定しました。 その後、西山さんは捜査の違法性などを訴え、国と滋賀県に対し約5500万円の損害賠償を求め提訴。 今年2月の最終弁論で西山さん側は「警察はマインドコントロールして調書を作成した」などと主張しました。一方、国と県は「西山さんが自発的に話せる配慮を行うなど、違法な捜査はなかった」などとして、訴えを退けるよう求めました。 そして迎えた17日の判決。 大津地裁は、警察がうその自白をするよう誘導したり、自発的に発言したように調書を作成したりするなど、違法な捜査と言えるなどとして、県に対して約3100万円を支払うよう命じました。一方で、西山さんを起訴した検察の判断に対しては捜査の違法性を認めず、国への請求は退けました。 西山美香さん 「国も起訴した違法性とかもあるのに認められなかったことに対しては 、すごく悔しいなって思いました。控訴して最後まで戦い続けたいと思っています」 今回の判決を受け、国側は現時点ではコメントを出していませんが、県側は「判決内容を精査したうえで、今後の対応を検討したい」としています。

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