息子を「いけにえ」にしようとした夫婦に執行猶予判決、親権は剥奪 仏

【AFP=時事】フランスの裁判所は17日、モロッコの砂漠で5歳の息子を「いけにえ」にささげようと計画していたとして起訴された夫婦に対し、その計画を立てていたことを示す証拠はないと判断したが、親としての義務を怠ったとして、それぞれ拘禁1年6月の執行猶予付き判決を言い渡した。また、夫婦から息子の親権を剥奪した。 この音楽教師の夫婦は2023年末、新しい四輪駆動車を購入し、フランスのボルドー近郊のアパートを転貸した後、スペイン南部からモロッコ行きのフェリーに乗ろうとしていたところを逮捕された。 不安に駆られた親族がフランス検察に対し、父親は息子が「悪霊にとりつかれた」と信じ込み、砂漠で息子を「いけにえ」にささげようとしていると通報した。 弁護人によると、夫のフロリアン・L被告は親族の主張を否定。「息子に危害を加える意図は一切なかった」としている。 「反体制」と「神秘主義」を信条とする夫婦は、親としての義務を果たせなかったことも否定した。 フロリアン被告は17日に法廷で、2023年11月の嵐の日に森の中で裸で神に出会い、「神の軍団」の一員に加わるよう求められたと証言。 「私の人生を支配しているのは愛とキリスト教だ」と述べた。 フロリアン被告は法廷で、過去に「妄想性障害」で精神科病院に入院したことがあると主張したが、裁判所が任命した専門家は被告について、精神障害(精神疾患)を患っていないと判断した。 妻のマリー・L被告は法廷で、「私たちは平和と静けさを求めて、静かに休暇を取りたかった」と述べた。 妻の弁護人によると、夫婦は2年前にモロッコを訪れたことがあり、再び訪れたいと考えていたという。 だが、息子の代理人を務める弁護士氏は、夫婦の信念が息子を危険にさらしたと述べた。 同弁護士によると、息子は発見された際、「冷たさ、恐怖、そして内なる蛇を取り除くこと」の大切さについて話していたという。 息子は現在、母方の祖父母の監護下にある。【翻訳編集】 AFPBB News

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