国際空港での小型機乗っ取り 男を逮捕、「思想的な同機」と警察 カナダ

(CNN) カナダの国際空港で小型機が乗っ取られた事件をめぐり、男が逮捕された。この事件をめぐっては、別の航空機などに突っ込む事態を恐れ、空港周辺では便の遅れや運航停止などの影響が相次いだ。 カナダ警察によると、バンクーバーから約64キロ南にあるビクトリア国際空港の飛行訓練校で15日、男が教官を脅して小型機のセスナ172を乗っ取った。 乗っ取られたのは遊覧飛行ツアーやチャーター便などを運航しているビクトリア・フライング・クラブのセスナ機。同クラブ代表によると、男は飛行機に乗りたいといってやって来たという。 セスナ機を乗っ取った男は単独で離陸してバンクーバー国際空港へ向かい、滑走路の上空で旋回。このため9機が目的地の変更を強いられ、管制塔が警戒を呼びかけた。 航空管制傍受サイトのLiveATC.netによると、管制官はウェストジェット便の操縦士に「国際空港はテロ行為のため閉鎖されている」と伝えていた。 別の管制官は「空港の上空でセスナが何らかの抗議を行っている」と複数の航空機に伝え、「もしあなたの方へ向かってきた場合、あなたの判断で行動を」と呼びかけた。 事態を受けて北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)の戦闘機が緊急発進。しかし戦闘機が到着する前にセスナ機は無事に着陸し、男は逮捕された。 逮捕されたのはシャヒール・カシム容疑者(39)。警察は、同容疑者が「思想的な動機で空域を混乱させた」と見ている。 CNN取材パートナーのCTVは、容疑者と同名のパイロットのSNSアカウントを特定した。同アカウントには乗っ取り事件前日の14日、「私はアラーの使徒だ。気候変動から人類を救い、世界平和の時代をもたらすために遣わされた救世主だ」「北極の海氷は2年以内に消滅するだろう。そうなれば北極海から大量のメタンが噴出して急激な地球温暖化を引き起こし、地球は金星のようになる」と書き込まれていた。 カシム容疑者は航空機乗っ取りの罪に問われ、16日に裁判所に出廷した。次回出廷は22日に予定されている。

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