SNS(交流サイト)を通して勧誘した女性を全国約1800の風俗店に派遣し、約60億円を稼いでいたとして警視庁が摘発した大規模スカウトグループ「アクセス」。構成員は300人に上ったとされ、その中には地方で暮らす主婦も。「子どもの医療費を稼ぐため」。職業安定法違反(有害業務目的紹介)の罪に問われた30代女性の被告は、東京地裁の公判でグループに関わった経緯と、スカウトの果たす役割を明らかにした。(共同通信=広川隆秀) ▽ワンオペ育児、「在宅でできる高収入な仕事」 6月の東京地裁の法廷。黒のスーツに身を包んだ被告は、髪を後ろで結び落ち着かなそうに立っていた。弁護人から座るように言われると、緊張した様子で紫色のハンカチを両手に握り背筋を伸ばして座った。目は潤んでいる。 スカウトに関わるようになったのは2021年5月ごろ。心臓に疾患のある息子が生まれて半年のころだった。「医療費が多く掛かり、お金の不安、この先の不安がありました」。はっきりとした聞き取りやすい声で動機をこう述べた。