ヤンキースがグラウンド外で大きな波紋を呼び起こしている。今夏のMLBドラフトで計19選手を指名したが、その中に過去の問題行動で世間を大きく騒がせた選手が含まれていた。 5巡目で指名されたのは、ユタ大の内野手コア・ジャクソン(21)。米全国紙「USA TODAY」や米メディア「ジ・アスレチックス」など複数の現地メディアが報じたところによれば、ジャクソンはネブラスカ大に在籍していた2021年にユダヤ人学生の家のドアにスワスティカ(かぎ十字)を描いたことを認めている。当時は17歳で酒に酔って「記憶がない」と釈明しつつも「本当に愚かな過ち」と謝罪。ネブラスカ州からは罰金、感受性訓練、社会奉仕といった処分を科されたという。 その後フェニックスの短大へ転校し、ユタ大でプレー。今季は打率3割2分1厘、4本塁打、33打点を記録し評価を高めたが、昨年9月には飲酒運転で逮捕されるなど再び問題行動も引き起こしている。情状酌量の末に軽犯罪扱いとなり、社会奉仕や罰金を命じられた。 今回の指名にあたり、ヤンキースは徹底した身元調査を実施。最終的にはオーナーのハル・スタインブレナーが承認したという。ジャクソン本人も「自分はあの時の自分ではない。神の赦しを伝える舞台にしたい」と語っている。契約金は14万7500ドル(約2200万円)で、1Aのハドソンバレーに配属される予定だ。 ヤンキースの名門球団としてのイメージと、過去に人種や宗教を傷つけた行為を認めた選手を指名する決断。このギャップが米国内でも議論を呼んでおり、球団が選手の成長と社会的責任をどのように両立させるのか。今後のヤンキースの対応とジャクソンの成長過程が、一層注目されることになりそうだ。