韓国も日本と似て、新しい首脳はまず訪米して米大統領と会談を行うというのが慣例になっている。そこで今回、首脳会談のために李在明(イ・ジェミョン)大統領が訪米の途中とはいえまず訪日するのは史上初めてではないか。逆に日本の首相で初めて訪米に先立ち韓国を訪れたのは1983年の中曽根康弘首相で、そのせいか彼は今も韓国で最も人気のある日本政治家になっている。 李大統領は野党時代には日本を「敵性国家だ」などと公言。尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の対日友好姿勢を「屈辱外交」「売国外交」と非難してきた党の代表だったが、大統領就任後は日本への協力・親近姿勢に一転し、尹政権時代の対日合意も守るという。中曽根氏には「風見鶏」の別名があったが、李大統領の変身、豹変(ひょうへん)ぶりもまた見事(?)である。 李政権は「外では右寄り、内では左寄り」という〝ツートラック(2路線)〟のように見える。国内では尹前大統領夫妻の逮捕をはじめ政治報復の嵐が吹き荒れ、首相や与党代表に〝反米〟の活動家上がりが就任し労組重視の政策など左傾化が目立つが、一方で外交は日米重視だという。内と外で左右のバランスを取ろうとしているのだろうか。 日本としては今後の〝変身防止〟のため、外交的タガになるよう李大統領の対日姿勢を称賛し続ければいい。(黒田勝弘)