日大アメフト部員、顔出し&実名OKの理由「事件とは関係ないのと…」チームではなく個人で会見

2023年に違法薬物事件を起こして廃部になった日本大学(日大)アメリカンフットボール部の後継組織「有志の会」に所属するランニングバック(RB)酒井佑昌(20=3年)が26日、東京地裁司法記者クラブで会見し、関東大学リーグ復帰が決まった後継組織が2部リーグ所属になったことを不服として、日本スポーツ仲裁機構(JSAA)に申し立てた。 大学日本一を決める甲子園ボウルに出るためには、関東の1部リーグ上位TOP8で1~3位に入り、全日本大学選手権に出場する必要がある(決勝が甲子園)。2部は、リーグ下位BIG8も含めて3部相当。現状なら甲子園まで最短3年かかり、事件時に1年生だった酒井ら3年生以上は間に合わない。そのため申し立てた。 「チーム」ではなく「個人」での申し立てに踏み切った酒井。通常、廃部になって関東学生連盟から退社(退会)し、今回のように新たに加盟となれば3部(4部相当)からの復帰となる。その中で、競技レベルの違いによる負傷リスク軽減も含め、日大の復帰が2部からでも温情措置と言われており、刑事事件を起こしたチームでもあったことから、今回の申し立てには激しく批判されることも予想された。 その中で踏み切った理由については、こう言った。 「今回の件で批判されることはあると思っているんですけれども、今、希望してチームに残っている選手たちは、みんな事件とは関係ない選手しか残っていません。それでも日大の印象やイメージは良くないと思います。ただ、実際、関わっていた人もいない中で新しくスタートしていて、新しいフェニックス(部時代の愛称)をつくっていこうと今、動いているので。批判されることもあると思うんですけど、それよりも、変わったり新しく前に進んだりしている日大に、少しでも、いいイメージを持っていただきたいなと思って申し立てすることにしました」 また、手続きの様子や会見は全て撮影可で、顔出しも実名も酒井は全てOKとした。その理由については「何も悪いことをしていないので。隠すと、何かやましいことがある思われても仕方ないと思いますし、何もないので堂々と。隠すのであれば、こういうことはしない方がいいと思っています」と語った。 日大を巡っては、寮に住む部員が違法薬物所持で23年8月に逮捕されたことなどを受け、同年12月15日付で廃部になった。1940年(昭15)創部で、甲子園ボウルで関東最多21度の優勝を誇った名門フェニックス(不死鳥)が84年の歴史に幕を下ろした。翌24年2月に関東学連からも退社していた。 薬物検査の陰性など一定の参加条件を満たした元部員や新入生は、同5月から「アメリカンフットボール有志の会」として活動。今年6月、関東学連に加盟が承認されて2部Bブロックから再出発することになっていた。初戦は9月7日に決まっている。【木下淳】

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