米軍の憲兵 那覇市・沖縄市で規律違反の兵士など17人逮捕 基地外で警察権拡大、論点置き去りのまま既成事実化

今月、米軍の憲兵隊が那覇市と沖縄市で実施したパトロールで、合わせて17人が逮捕されていたことが分かりました。 米軍の憲兵隊はこれまで、県警などと合同で沖縄市でパトロールを行ってきましたが、今月1日の未明、初めて那覇市で軍単独のパトロールを実施しました。 軍などによると今回のパトロールで憲兵隊は、深夜の基地の外での飲酒などを規制する「リバティー制度」に違反したとして、那覇市で2人、沖縄市で15人の米軍関係者を逮捕したということです。 米軍は「米軍人の義務を再確認させるという点で成果があがっている」としていますが、県内では米軍が基地の外で警察権を拡大することを懸念する声もあがっています。 ■パトロールが始まった背景は 沖縄で軍の当局による市街地パトロールが始まったのは、2000年です。米兵などによる事件・事故を防ぐため、沖縄市や北谷町などで「生活指導巡回」として始まりました。 生活指導巡回は下士官が私服姿で行い、逮捕権は行使せず、事件・事故を確認した場合には県警に通報するというのが、開始当初のルールでした。しかし現在は制服姿の米兵が巡回しています。 米軍基地が近い本島中部だけでなく、那覇市で憲兵隊単独でのパトロールが実施され、多くの逮捕者も出したことで、米軍が基地周辺にとどまらず、広く市街地での治安に直接関与する姿勢が明確になっています。 沖縄市では、今年8月に実施された日米合同パトロール中に、車の窓ガラスを割ったとされる米海兵隊員に憲兵が対応しました。 警察によると、宿泊施設の駐車場で車のガラスが割られた事件に、合同パトロール中の要員が対応。駐車場の近くでけがをしていた海兵隊員が、憲兵によって米軍施設内の病院に運ばれました。 ■県警は逮捕「しなかったのか、できなかったのか」疑問も 警察はその後、現場近くの防犯カメラの映像を精査するなどの捜査を経て、この海兵隊員が車の窓ガラスを割ったとして、器物損壊の疑いで9月24日に書類送検しました。しかしこの事件は米軍関係者でなければ県警が逮捕した上で捜査してもおかしくないケースでした。 那覇地検は先月30日、この海兵隊員を不起訴処分としています。その理由は公表していません。夜の那覇市で街の人に聞くと、軍によるパトロールには賛否が交錯しています。

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