ここ数年の間に何度か話題となってきた、フェラーリのF1マシンを彷彿とさせるレーシングカーが公道を猛スピードで走行する姿。この度、ドライバーの男がチェコでついに御用となった。 51歳の男は先日、チェコの首都プラハにほど近いブクで逮捕。「フェラーリのF1マシンがガソリンスタンドに入っていっている」との通報を受け、複数の警察部隊とヘリコプターが出動した結果、男を取り押さえるに至った。 チェコ警察の中央ボヘミア地域を担当する広報は「最初の通報から2分後、別の通報者より『フォーミュラカーがD4ハイウェイでプリブラム方面へ猛スピードで走行している』との報告があった」としている。 男が運転していた車両はフェラーリのF1マシンのカラーリングとなっており、シェルやマールボロのロゴも入っているが、実際にはF1マシンではなく、現在のFIA F2にあたるGP2のマシンだ。ダラーラ製で2008年から2010年に使われたシャシーであり、車重は688kg。メカクローム製V8エンジンを搭載し、約620馬力を発生する。 チェコ警察広報によると、男はプリブラムの警察署に連行され事情聴取を受けたという。逮捕時の映像には、レーシングスーツとヘルメット姿でマシンに乗った男が警察官と口論する様子が映っていたが、署内での取り調べには応じなかった。 また当該ドライバーの息子が報道陣の取材に応えており、次のように述べた。 「警察は私たちの私有地に侵入し、権利を侵害した。個人的には、完全に不必要で違法なことだと思う」 「これまでは何の問題もなかった。2019年以来、このフォーミュラカーがチェコの高速道路を走っていることは誰もが知っていることで、人々はそれに慣れるべきだ」 「最高でも180km/hから200km/hくらいで走っていただけで、誰にも危険を及ぼしていない。危険な動きもしなかった。他のドライバーの方がよっぽど危険だ」 「こんなクルマが家にあったら、ただ眺めているだけでは済まないだろう。高速道路用に作られていないからといって、走れないとは限らない。むしろ、田舎道を時速30マイル(約48km/h)で走るドライバーの方が危ない」 この親子は『TrackZone』というYouTubeチャンネルを運営しており、このGP2マシンを走らせる動画を投稿している。そして逮捕時の瞬間を映した最新動画も公開されている。チャンネルは執筆時点で15,700人の登録者を持ち、103本の動画を投稿。最も人気の動画は、高速道路を猛スピードで走るシーンで、再生数は約80万回に達している。 CNNの報道によると、この暴走行為は日本円で3万5000円〜7万円程度の罰金に加え、6ヵ月の免許停止の処分が科されるという。チェコ警察は声明で次のように説明している。 「この種のレーシングカーは法的な技術要件を満たしていないため、公道走行は認められていない。フォーミュラカーは鋭い形状をしており、ライトやウインカー、ナンバープレートなどの重要な安全装備を備えていない」 「フォーミュラカーなどのレーシングカーを運転することは、ドライバー本人だけでなく、他の道路利用者にとっても危険だ」