「信じられないですよ」工藤会本部事務所跡の周辺に新築の分譲住宅 ドラッグストアや飲食チェーン店も次々出店、「条件は良いが仕返しが怖い」負のイメージ払拭した市職員

福岡県警が特定危険指定暴力団工藤会の壊滅作戦に着手してから11日で11年。同会の象徴だった本部事務所跡地(北九州市小倉北区)では複合型社会福祉施設の建設が進み、周囲では住宅需要も高まるなど、地域を覆っていた負のイメージは変わりつつある。下支えしたのはある市職員。報復への恐怖を乗り越え、素顔を出して「安全な街」をアピールしてきた。 小倉駅から南東に1・5キロほどの住宅街。かつて本部事務所があった地域を歩くと、新築の分譲住宅が目につく。北九州高速道路の足立インターチェンジから車で約3分。ここ数年でドラッグストアや飲食チェーン店が次々に出店し、地場不動産会社の男性役員は「今は家を建てればすぐ売れるエリア」と話す。 本部事務所はかつて「組織への忠誠心を高める拠点」(捜査関係者)とされ、定例会合などがあるたびに黒塗りの車が行き来し、組幹部や組員が一堂に会して異様な雰囲気を漂わせた。住民が近寄りがたい場所だっただけに、小倉南区長の日々谷健司さん(58)は感慨深げに語る。「昔を思えば、信じられないですよ」

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