違法マッサージ店でタイ国籍の12歳の少女に接客をさせたとして経営者が逮捕された事件。取材を進めると、幼い少女を巡る人身取引の実態が見えてきました。 ■タイ人12歳少女“違法接客” 拘束された母親の家がある周囲には虫の声や犬の遠ぼえだけが響く暗闇が広がっていました。 逮捕された東京・文京区の違法個室マッサージ店の店主・細野正之容疑者(51)は、自分の店で12歳のタイ国籍の少女に性的なサービスをさせていた疑いが持たれています。 この事件はタイ国内でも…。 警察幹部 「これは人身取引の問題だと思う」 人身売買。その入り口は比較的、身近にあることが見えてきました。 取材班が通されたのは洗濯物や家財道具が雑然と置かれた壁のない土間。迎えてくれたのは保護された12歳の少女の祖母です。 少女の祖母 「(Q.どんな店か知っているか?)知りません。『マッサージ』としか聞いていない」 「(Q.おばあちゃんとしては、どんな気持ち?)孫も娘も心配。どうしていいか分からない」 12歳の少女は母親に連れられて6月に来日。細野容疑者に客への性的サービスを強要され、1カ月で60人、約60万円を売り上げたとみられています。 母親はその後、「迎えに来るからね」と言って自分だけタイに帰国。残された少女からは9月、こんな連絡があったといいます。 少女の祖母 「(孫は)『タイに帰って勉強したい』と『だから入管に行く』と話していた」 事件は少女が東京の入管に助けを求めたことで発覚。 一方、少女の母親は別の売春事件に関わったとして台湾で身柄を拘束されています。 ■貧困あえぐ人身取引の実態 少女の祖母 「娘はとても真面目で、働き者できちんとしていて嘘をつかない。常に両親を支え、3人の子どもを育ててきた」 祖母の話の背景に透けて見えるのは、タイ国内に広がる貧困の問題です。 少女の祖母 「娘は中学1年で学校をやめ、働き始めた。その後、友人と一緒に海外で『マッサージ』の仕事をするように。日本に行くようになって1年くらい。本当のことは分からないが、私たちは孫がオーナーらと一緒にいるなかで(仕事を)強制されたのではと思っている。あくまで私の推測だが」