密輸した偽刻印の金塊を売った疑いで8人逮捕 総額95億円分か

偽の刻印が入った金塊を売って代金をだまし取ったとして、警視庁特別捜査課は14日、中国籍の会社役員、楊暁東容疑者(39)=東京都渋谷区神山町=ら男女8人を詐欺と有印私文書偽造・同行使容疑で逮捕したと発表した。グループは3月以降の4カ月間で、主に密輸で入手した95億円分の金塊を同様の手口で売却したとみられる。 逮捕容疑は何者かと共謀して3~4月、東京都千代田区の貴金属買い取り会社の2店舗で、偽の刻印が入った金塊計37キロが正規品だとする商品明細書や小売取引確認書を示して売却し、計6億円をだまし取ったとしている。認否を明らかにしていない。 警視庁によると、一般的に金塊は偽物と見分けるために貴金属メーカーのマークやシリアル番号が刻印されている。ない場合は値打ちが下がり、買い取ってもらえないケースもある。 楊容疑者らは、金塊の多くを密輸していたとみられる。貿易会社や貴金属業者として複数の買い取り会社に接触。正規の輸入の場合に税関で課される消費税分を上乗せして4カ月間で金塊95億円分を売却したという。すべてが密輸だった場合、8億6000万円の利益を得ていたことになる。 売り上げの大半は仮想通貨(暗号資産)に交換しており、警視庁はマネーロンダリング(資金洗浄)をしていたとみている。 金の価格が急騰する中、警察官をかたって金塊をだまし取る特殊詐欺事件が相次ぎ、都内でも1~9月の被害は2億6000万円に上る。警視庁は、その捜査過程で偽造刻印の金塊が流通していることに気づき、出所を調べていた。楊容疑者らが売却した金塊も、だまし取られた被害品が含まれている可能性があるという。【長屋美乃里】

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