警視庁新宿署で2017年、ネパール人男性=当時(39)=が取り調べ中に急死したのは留置担当警察官らの過失が原因だとして、男性の妻が東京都などに損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が19日、東京高裁であった。 相沢真木裁判長は一審判決を変更して身体拘束と死亡との因果関係を認定。賠償額を大幅に増額し、都に約3900万円の支払いを命じた。 判決によると、男性は17年3月の逮捕翌日、留置施設で暴れたため、手足をベルト型の手錠や縄で約2時間拘束された後、東京地検での取り調べ中に意識を失い死亡した。 一審東京地裁は23年3月、身体拘束の違法性を否定したが、警察官には病院に搬送する注意義務があったとして都に約100万円の賠償を命令。双方が控訴していた。 相沢裁判長は、身体拘束の必要性はあったとする一方、「手錠や縄を4回装着し直し、必要以上の強度で血流が著しく阻害されていた」と指摘。警察官には過失があり、血流の阻害がなければ男性は死亡しなかったとして因果関係を認めた。 判決後に都内で記者会見した代理人の小川隆太郎弁護士は「裁判所が(ベルト手錠の)検証を実施し、具体的な認定をしてくれたことが勝訴に結び付いた」と話した。 警視庁の庄司博幸訟務課長の話 判決内容を精査した上で今後の対応を検討する。