2025年11月14日、日本代表のサッカー選手につきまとい行為をしたことで65歳の女性が逮捕された。女性は自身のSNSであたかも選手と恋愛があるかのような投稿をしていた。報道によれば、ダイレクトメールでその選手に粘着質な連絡を繰り返し、その選手の暮らす場所に何度か行っていたという。しかし選手と容疑者は全く面識もなかった。 警察庁のHPには、「ストーカーとは、『つきまとい行為』や『位置情報無承諾取得等』などを繰り返し行うことで、ストーカー規制法という法律で規制されています」と書かれている。具体的にはつきまといや「監視をしている」と告げること、拒否をしても何度も連絡をしてくることなどといったいわゆるストーカー行為に加え、「GPS機器等を用いて位置情報を取得する行為」「GPS機器を取り付ける行為」なども含まれる。 11月21日には、衆議院の内閣委員会でストーカー規制法の改正案が可決された。規制の対象に追加されたのは、スマホと連動した紛失防止タグを、相手の承諾を得ずに取り付けて位置情報を取得する行為だ。同時に、配偶者暴力防止法(DV防止法)も同様の規制を盛り込むという。それだけさまざまな方法で相手が怖いと感じるようなことをする手段が広がっているということだろう。 キャリア10年以上、3000件以上の調査実績がある私立探偵・山村佳子さんは、メンタル心理アドバイザー、夫婦カウンセラーの資格を持つ。「ストーカー行為の背後に、恋心があることが多いです。パートナーがいる人が、別の人と恋愛し、相手にストーカーまがいの行為をしたことから浮気が発覚することも多いのです。また、心に病を抱えている人は、妄想にとらわれ暴走することも多いと感じています」と語る。 山村さんは「困っている人を救える人になりたい」という気持ちが強い。学生時代は警察官を希望していたが、当時は身長制限があり、受験資格はなかった。一般企業に勤務するが、目の前の人を助けたいという思いは強く、探偵の修行に入る。探偵は調査に入る前に、依頼者が抱えている困難やその背景を詳しく聞く。山村さんは相談から調査後に至るまで、依頼人が安心して生活し、救われるようにサポートをしている。 これまで「探偵が見た家族の肖像」として山村さんが調査した家族のことをお伝えしてきたが、この新連載「探偵はカウンセラー」は、山村さんが心のケアをどのようにして行ったのかも含め、様々な事例から、多くの人が抱える困難や悩みをあぶりだしていく。個人が特定されないように配慮しながら、家族、そして個人の心のあり方が、多くの人のヒントとなる事例を紹介していく。 今回山村さんのところに相談に来たのは39歳の会社員の博紀さん(仮名)だ。「今から考えたらストーカーのようだった妻が、家事育児を放棄して子どもがひどいことになっています」と山村さんのところに相談してきたのだ。情熱と執着は紙一重ではあるが、妻はどんな人物なのか……。