検査場に入った赤いスポーツカーは、わずか6分で車検を終えていた。本来必要な点検をせずに通す「ペーパー車検」だったとみられ、数々の高級車の「御用達」になっていたという。 高級外車の車検を不正に通す見返りに現金を受け取ったとして、警視庁交通捜査課は2日、埼玉県八潮市の自動車整備会社「ブルック」の山田正司社長(73)を道路運送車両法違反(不正車検)と加重収賄容疑などで書類送検したと発表した。当時の従業員2人も両容疑で逮捕、書類送検した。 社長らの容疑は2月21日~5月7日、客から依頼を受けた乗用車4台に正しい検査をせずに保安基準適合証を作成して国に提出。不正に車検を通し、報酬として現金8万8000円を受け取るなどしたとしている。「安く、速く車検を通してと依頼を受けた」と供述している。 交通捜査課によると、ブルックでは、ランボルギーニやマイバッハなどの高級外車の車検が10分程度で終わっていた。違法改造車でも車検を通していたといい、不正車検は年間1000台超で2300万円の売り上げがあったとみられる。【菅野蘭】