昨夏以降に首都圏で相次いだ強盗18事件のうち千葉県市川市の事件を指示したとして男4人が逮捕された事件で、4人が匿名性の高い通信アプリ「シグナル」の9アカウントを使って実行役らに指示を出していたことが捜査関係者への取材で分かった。アカウントを切り替えながら指示を出しており、警視庁は、特定されることを避ける狙いがあったとみている。 強盗致傷と住居侵入の疑いで5日までに逮捕されたのは、いずれも職業不詳の福地紘人(26)=住居不詳=、斉藤拓哉(26)=同=、村上迦楼羅(かるら)(27)=同=、渡辺翔太(26)=仙台市=の4容疑者。昨年10月17日未明、SNSで集めた男3人=強盗致傷などの罪で起訴=らと共謀し、市川市の住宅に侵入し、50代女性を複数回暴行して重傷を負わせ、現金4万8千円などを奪った疑いがある。 捜査関係者によると、逮捕された実行役3人らのスマートフォンを解析するなどした結果、市川の事件では、匿名性の高い通信アプリ「シグナル」の9アカウントから指示が出されていたことがわかったという。 アカウント名は、「パトリック」「PTA」「GG」「ファルコン」「mato」「ヘルシンキ」「ビリー」など9種類。事件の途中で切り替わることもあったという。 実行役の供述などから、福地容疑者が「ビリー」など2種類を使い、他の3人は2~3種類のアカウント名を使っていた、と警視庁はみている。 指示役の逮捕について説明する記者会見で、親家和仁・警視庁刑事部長は「短期間でアカウントを頻繁に変えていた。全国警察が保有する関連情報を集約し、断片的なものも含め、一つ一つのピースをパズルのように組み合わせた」と話した。(長妻昭明、藤田大道、吉村駿)