預かった時計1300本を売却や質入れか 「トケマッチ」元代表ら逮捕

腕時計のシェアリングサービス「トケマッチ」を巡り、所有者から高級腕時計をだまし取ったとして、警視庁捜査2課は26日、運営会社「ネオリバース」(大阪市中央区)の元代表、小湊(本名・福原)敬済(たかずみ)(44)と元従業員の中山大志(44)=大阪市平野区=の両容疑者を詐欺容疑で逮捕した。トケマッチに関しては、預けた腕時計が返却されないとして全国の利用者が総額28億円超の被害を訴えていた。 トケマッチは、所有者から腕時計を預かり、借りたい人にレンタルするサービスとして2021年1月に開始。所有者には預託料を支払う仕組みだが、24年1月31日に「諸般の事情」を理由に会社の解散を公表し、事業も停止していた。 警視庁や捜査関係者によると、24年5月時点で、20~80代の利用者650人が45都道府県警に被害届を提出。ネオ社に預けた腕時計は計1700本(時価総額28億円相当)に上り、うち1300本が勝手に売却されたり、質に入れられたりしていたという。 逮捕容疑は、共謀して23年8~12月ごろ、東京都内の30代男性に「腕時計を預けてくれれば、毎月預託料を払う」と持ちかけ、高級腕時計「ロレックス」15本(時価総額1800万円相当)をだまし取ったとしている。警視庁は認否を明らかにしていない。 小湊容疑者は解散を公表した日にアラブ首長国連邦(UAE)に向けて出国した。警視庁は24年3月に業務上横領容疑で逮捕状を取得。半年後に詐欺容疑で取り直し、国際刑事警察機構(ICPO)を通じて国際手配した。 手配は当初、各国の捜査当局に情報提供を求める「青手配」だったが、その後、身柄拘束を求める「赤手配」に切り替えられた。これを受け、UAE側から「身柄を拘束した」との連絡があったという。警視庁の捜査員らが現地に出向き、小湊容疑者を成田空港に移送して、逮捕した。 成田空港で小湊容疑者は黒い上着とハーフパンツ姿で、肩に毛布を羽織って搭乗口に現れ、警察車両に乗せられた。 小湊容疑者と共にUAEに出国し、国際手配されたネオ社元従業員の永田大輔容疑者(40)については警視庁が引き続き行方を追っている。【長屋美乃里、菅野蘭】

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