証拠隠滅の判断「難しい」 裁判官らが保釈を議論 大川原冤罪で批判

犯罪の疑いをかけられて警察署や拘置所に勾留された人の保釈について、最高裁は15日、裁判官らが運用の課題を議論する非公開の研究会を開いた。「大川原化工機」(横浜市)をめぐる冤罪(えんざい)事件で、保釈請求を退け続けた裁判所の対応が批判されたことなどを踏まえ、最高裁は今回の議論を適正な保釈の運用につなげたい考えだ。 保釈は、起訴された後の人が保釈金を預けることで拘束を解かれる制度で、検察官の意見をふまえて裁判官が可否を判断する。 大川原化工機の冤罪事件では、不正輸出の疑いで同社社長らとともに逮捕された元顧問の男性(当時72)が勾留中に胃がんが見つかったのに、「罪証隠滅のおそれ」があるとする裁判所の判断が続き、保釈が認められないまま亡くなった。 最高裁によると、研究会は、最高裁が設置する研修機関「司法研修所」がオンラインで開き、全国の地高裁で刑事事件を担当する裁判官ら約70人が参加した。 終了後の最高裁の説明によると、研究会では、刑事弁護の経験が豊富な河津博史弁護士や東京地検の古賀由紀子公判部長らが保釈の実情を説明した。 河津氏は大川原化工機冤罪事件など身体拘束が長期にわたった事例を紹介。「身体拘束を継続することで健康上、社会生活上などの不利益が発生する。これらの多くは外から見えにくい」と指摘。古賀氏は、身体拘束は重大な人権侵害を伴うとして「適正かつ必要な限度にとどめなければいけない」と述べたという。 その後の議論では、参加した裁判官から「(罪証隠滅の判断は)予測的判断なので難しく、正確な判断には限界もある。罪証隠滅のおそれを過度に重視していないかを意識する必要がある」との意見が出た。被告の健康状態の判断については、「裁判所は医療に関する専門的な知識がないために症状の程度や見通しの判断が困難な場合がある。弁護人だけでなく、検察官から的確な資料を提出してもらうなどして正確な把握に努めるのが重要だ」などの意見が上がった。 研究会の結果は全国の裁判官に共有されるといい、裁判官の実務に影響を与える可能性がある。保釈をテーマにした2回目の研究会の予定は決まっていないという。(米田優人)

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