【ソウル時事】韓国の尹錫悦大統領による「非常戒厳」の宣言に関し、検察は10日、尹氏の側近で戒厳令を出すよう助言したとされる金龍顕前国防相を内乱と職権乱用の容疑で逮捕した。 検察は金氏と共謀した「首謀者」と見なす尹氏への捜査を本格化させる見通し。 事件を巡る逮捕は初めて。検察が尹氏への強制捜査や事情聴取に踏み切る可能性が高まった。ソウル中央地裁は検察の請求を受けて金氏の逮捕状を発付。「犯罪疑惑の疎明の程度や犯罪の重大性、証拠を隠滅する恐れを考慮した」と説明した。 検察は3日の戒厳令に関する一連の動きが、憲法秩序を破壊する目的の暴動だった疑いがあるとする。こうした疑いに一定の合理性が認められたことで、捜査の弾みになりそうだ。 金氏の逮捕状には内乱容疑の「重要任務従事者」と明記された。内乱罪は処罰対象を首謀者と重要任務従事者、同調者の3段階で規定する。検察は事件の「首謀者」を尹氏と位置付けた形だ。 刑法は憲法秩序を乱す目的で暴動を起こした場合に内乱罪を適用し、死刑または無期懲役などを科すと定める。内乱罪は大統領が在職中に訴追を免れる「不訴追特権」の例外に当たる。 戒厳軍は金氏らの指示で国会に進入し、非常戒厳を解除する決議が成立するのを防ごうとしたとされる。特殊戦司令官は10日の国会審議で、尹氏から電話で「扉を壊して議員を引きずり出せ」と直接指示されていたと証言した。