わずか2週間ほどの間に、関東で強盗が相次ぎました。“闇バイト”による事件とみられ、これまでに実行役、見張り役などとして容疑者13人が逮捕されています。「バンキシャ!」は、そのうちの1つの事件を再現。その“強盗手口”には3つの共通点がありました。【バンキシャ!】 5日、「バンキシャ!」が話を聞いたのは早朝の新聞配達を終えた配達員。 *** 新聞配達員 「(ここらへんで)人とすれ違った」 東京・国分寺市の路上。9月30日の午前4時ごろ、60メートルほど離れた場所で強盗事件が発生。その被害者にここで助けを求められたという。 被害者を助けた 新聞配達員 「こういう感じだったので、お年寄りなので腰に手をついているだけかと思っていたけど、縛られていて、よく見たらここら辺とか髪の毛にも乱雑に粘着テープがくっついていた」 その翌日、10月1日には、埼玉県所沢市で80代の高齢夫婦が暮らす住宅に4人の男が押し入り、現金およそ8万円などが奪われた。 この事件で埼玉県警は森田梨公哉容疑者、24歳を公開指名手配。この森田容疑者とみられる男が、前の日に国分寺市で起きた強盗事件で現場近くの防犯カメラに。 9月18日から10月1日までのわずか2週間ほどで、東京と埼玉で相次いだ強盗事件。先月18日には、さいたま市。その10日後には練馬区で。さらに、3日後には所沢市。 「実行役」や「見張り役」などとみられる13人が次々と逮捕された。いずれも「闇バイト」で集められたとみられている。 被害者を助けた男性は。 新聞配達員 「口に粘着テープを貼られていたことに気づいた。腕を見せてきて、腕も縛られて、かなりきつく縛られていましたし、全身あざだらけで…」 バンキシャ!はその証言や警察への取材をもとに、当時の状況を再現。そこから「ある共通点」が浮かんできた。 組織犯罪に詳しい 元警視庁警視 櫻井裕一さん 「手っ取り早いのは聞き出して『お金がここにあるよ』ってわかること」 「(住人が)いるときを狙っているんですよ」 *** 事件は9月30日、東京・国分寺市の住宅で発生。午前4時ごろ、現場近くの防犯カメラがある音をとらえていた。 「ガン!ガンガンガン!」 現場では何が起きていたのか。 (取材に基づく再現) この家にひとりで住む60代の女性。物音に気づくと、1階へ。すると…目の前には全身黒ずくめの2人の男が。 男 「騒ぐな、殺すぞ」 男は女性の顔をハンマーのようなもので殴り、全身を粘着テープで縛ったという。そして、男たちはスマートフォンの画面を見せて「金はどこだ」と迫る。少なくとも現金500万円を奪って逃走した。 その後の足取りは現場近くの防犯カメラに映っていた。事件から約50分後の午前4時50分ごろ。駐車場に現れた2人の男。そのうちの1人は、所沢の事件で公開手配されている森田梨公哉容疑者とみられている。車に乗り込んで駐車場から走り去った。 そのおよそ7分後、自力で家から出た被害者の姿が。ちょうどバイクを降りた新聞配達員に助けを求めたという。 駆け寄ってきた被害者は、口を粘着テープでふさがれた異様な姿だった。足や腕には犯人が慌てて縛ったのか、粘着テープがねじれた状態で巻き付いていた。 新聞配達員 「肘と肘がくっついているくらい反っていて腕が。それはもう痛そうでした。背中も(服が)半分めくれて、たくさんあざがあって」 「全身あざだらけで触るのも結構痛がっていたのでこれ以上触るのもな…って感じでした」 そして口の粘着テープをはがすと… 女性 「強盗にあったんです。110番通報してください」 新聞配達員はスマホを取り出し通報。 女性 「4~5人くらいの男がハンマーみたいなものを持って入ってきた」 警察が来るのを待つ間も… 女性 「痛いです。腕が痛い」 のちに左腕が骨折していたことが分かったという。 *** 国分寺、さいたま、所沢。この3つの事件には共通点があった。「未明の犯行」「60歳以上の人が住む一軒家」「粘着テープで縛ること」。 この手口から何がわかるのか。組織犯罪に詳しい専門家は。 組織犯罪に詳しい 元警視庁警視 櫻井裕一さん 「お金があるところを探さなきゃならない。それよりも手っ取り早いのは聞き出して『お金がここにあるよ』ってわかることが一番早い。(住人が)いるときを狙っているんですよ」 家の人が気づくように、わざと音を立てて侵入し鉢合わせた住人から、金のありかを聞き出す狙いがあるという。警察は、この3つの事件は犯行の手口が似ている事から指示役が同じ可能性があるとみている。 闇バイトで集められたとみられる強盗事件の容疑者たち。その特徴について、組織犯罪に詳しい専門家は。 組織犯罪に詳しい 元警視庁警視 櫻井裕一さん 「嫌だと思っても、『そんなことするんだったら殺すよ』と。『逃げたら殺すよ』って脅かされるんで、それが一番怖いんですよ」 櫻井さん 「常に指示役からの連絡を待っているんだと思うんですよね。だからみんなそれぞれ逃げようとしたときに怖いんですよ。『誰々が逃げたよ』って連絡されたら、やばいじゃないですか。みんな言われるがまま、実行に移っちゃう」 一度手を染めると、指示役の支配から逃れられなくなる闇バイト。 別の専門家は、その後のリスクについて警鐘を鳴らす。 闇バイトに詳しい 龍谷大学研究員 廣末 登さん 「(刑期を終えた後)銀行口座を持てない、携帯電話の契約ができない、デジタルタトゥーでネットに名前が残る」 「自分の未来をそんな安いお金で台無しにする。これほどもったいないことはない。これだけは声を大にして若い人に言いたい」 *10月6日放送「真相報道バンキシャ!」より