レトロ&近未来のミクスチャー、ゆるい会話、クセになるキャラ造形が刺さる「銀河特急 ミルキー☆サブウェイ」アニメシリーズをおさらい

2025年夏に配信&テレビ放送された「銀河特急 ミルキー☆サブウェイ」を再編集し、新規カットを加えた劇場版『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ 各駅停車劇場行き』が2月6日(金)より公開される。テンポのいい会話、どこかレトロな雰囲気を感じさせる独自の近未来感、そしてクセになる音楽使いが話題となり、ファッションの聖地PARCOなど様々な企業とのコラボレーションも実現した同作。暴走列車で繰り広げられる、チハル(声:寺澤百花)とマキナ(声:永瀬アンナ)たちの活躍がパワーアップして大スクリーンに帰ってくる。 ■シンプルな展開と、1話約3分半の手軽さ 「銀河特急 ミルキー☆サブウェイ」は、CGクリエイターの亀山陽平が専門学校の卒業制作として個人制作し、2022年にYouTubeで公開した「ミルキー☆ハイウェイ」を原作に、同作の続編として制作されたショート作品。1話3分半という、サクッと観て楽しめる“ちょうどよさ”も人気のヒミツ。 強化人間のチハルとサイボーグのマキナが銀河道路交通法違反で逮捕されるまでが描かれた「ミルキー☆ハイウェイ」。本作「銀河特急 ミルキー☆サブウェイ」は、そんなチハルとマキナがほかの逮捕者と共に、惑星間走行列車=通称ミルキー☆サブウェイの清掃を命じられるところから始まる。しかし、列車に搭載された人工知能「O.T.A.M.」、通称“オータムちゃん”が誤作動を起こし、チハルとマキナたちを抹消するため襲いかかってくる。 ミルキー☆サブウェイに閉じ込められるのは、チハルとマキナのほか、スピード違反で捕まったアカネ(声:金元寿子)とカナタ(声:小市眞琴)のヤンキー男女2人組と、砂糖の不法所持で逮捕されたカート(声:内山昂輝)とマックス(声:山谷祥生)。頭に触覚が生えていたり、部分的に機械化されていたりとSF感満載の見た目だが、カラフルなY2Kファッションやストリートファッションで身を包んだ独自のミクスチャー感に亀山監督のセンスが光る。 最初は我関せずだった3組が、途中いざこざもありながらしだいに連帯感や絆が生まれ、列車の暴走を食い止めるため力を合わせていく様子も見どころ。マキナとアカネが劇中のアイドル歌手“水無瀬ミナミ”(声:田村ゆかり)のファンであることで意気投合したシーンは、オタクあるあるで共感必至。また、脱出に協力する見返りに金銭を要求していたカートとマックスが、チハルからの感謝の言葉に打たれるシーンは胸がアツくなる。 本作の魅力として、マシンガンのように繰り広げられるテンポのよい会話の掛け合いと、物語と絶妙にシンクロした音楽が挙げられる。どこかギャルっぽいチハルとマキナの口調、テンション低めで無気力なカートとマックス。そこへ口だけ番長のカナタと無口なアカネ。それぞれのダルそうなトーンがなんともリアルで、被さりながら会話がどんどん進んでいくスピード感に気づけば引き込まれている。 また主題歌に伝説の3人組アイドル“キャンディーズ”の1977年の楽曲「銀河系まで飛んで行け!」が起用され、挿入歌として流れる水無瀬ミナミが歌う昭和アイドルソング風の「ときめき★メテオストライク」を、田村ゆかりが歌唱していることもファンのツボを絶妙に抑えている。さらに、ミルキー☆サブウェイのセキュリティロボ、“排除くん”が垂れ流す、昭和のゲームセンターのようなチープなメロディのループにチハルたちが苦しめられる場面も。一度聴いたらハマること間違いナシのレトロな音楽が、戦闘シーンで楽曲のビートやキメのタイミングとシンクロする様子も快感だ。 レトロなのは音楽だけではない。第1話に使用されたMindaRyn「Altair and Vega」のMVに登場するチハルの部屋には、ウォークマンやレトロフューチャーな家具や時計などの小物が並び、そのかわいさとオシャレさも話題。チハルとマキナが着ている服に描かれた、ロゴがデザインされたグッズも評判だ。 ■倦怠感を漂わせながらもじわじわ友情(?)を築いていく登場キャラ ここまで本作の見どころを紹介してきたが、逮捕された面々をはじめとする各キャラクターの個性や関係性も魅力。チハルは23歳の強化人間で、普段はコンサルタントの仕事をしている。お人好し&マイペースな性格で、学生時代からのマキナの友人だ。そしてマキナは、顔がモニター型のアニマトロニクスとなっている、チハルと同じ23歳のサイボーグ。かなりガサツかつやや好戦的な性格で、17犯の前科がある。実は、列車“ミルキー☆サブウェイ”の製造元であるタイタン工業創業者の令嬢。彼女はそれを隠しているものの、使用しているガジェットや金払いのよさなどから“タダモノではない感”がにじみ出てしまう場面もあった。 強化人間であり、宇宙暴走族「ギャラクシースピリッツ」の総長を務めるアカネ。長身で怪力、寡黙な性格。仲間思いで常にカナタのことを気に掛けている。アイドルの水無瀬ミナミの大ファンで、ファンクラブ限定キーホルダーをイヤリングにしていたことがマキナの目に留まり、お互いに心を開いていった。一方、アカネの腰巾着で強化人間の少年カナタは、弱いくせにイキリがち。その存在感については、アカネから「エビの天ぷらのしっぽ」と評されているが、彼女なりに大切にしているがゆえの表現のようだ。 サイボーグ男子2人組、陸軍出身のカートと宇宙軍出身のマックス。共に、退役後はグレーな仕事ばかりを引き受ける防衛サービスの社員として勤務しているが、基本的になにに対しても無関心でゲームばかりしている。劇中、排除くんと対峙した際には、カートが排除くんの攻撃を防ぎながらマックスが持ち前の情報処理能力を駆使してハッキング。鮮やかな連携プレーを見せつけ、実力とコンビネーション能力の高さをうかがわせた。 そして、ここまでに登場した逮捕者たちの取り調べを行ったほか、奉仕活動の指導を担当したリョーコは、人間の元ヤンキーで、現在は銀京府警の巡査を務め刑期短縮プログラムを担当している。元ヤンという背景を活かし、逮捕者たちに寄り添いながら事情聴取を行っていく。 ■各キャラの深掘りも期待!?新キャラも登場の『各駅停車』 「銀河特急 ミルキー☆サブウェイ」は1話3分半×12話、前日譚にあたる「ミルキー☆ハイウェイ」を足しても1時間に満たないことから、劇場版では新規カットが加えられているとの前情報がある。連載中のコミカライズでは、チハルがギャル軍団から嫌がらせを受けていた中学時代の話や、カートとマックスが防衛サービスに就職するに至った話などキャラクターの過去が明かされており、劇場版タイトルとして加わった「各駅停車」は各キャラクターの深掘りを意味しているのではないかと考察されている。ほかにも、マキナと家族の関係、アカネはカナタにラブなのか?という点も気になるところ。 新キャラクターとしてアサミ巡査(声:小野賢章)とハガ署長(声:ロバート・ウォーターマン)の登場もアナウンスされており、アサミはリョーコの一つ年下の後輩警察官で、初期プロットではリョーコのペアとして設定されていたが「ミルキー☆サブウェイ」の制作にあたり、亀山監督が泣く泣くカットしたというエピソードも。また事前の特番によれば、アサミは定時で帰り、飲み会には出席しないイマドキな若手社員で、ハガはリョーコとアサミの上司にあたるガタイのいいキャラクターとのこと。またリョーコ役の小松未可子からは、暴走列車でチハルたちが大騒ぎになっている一方で、リョーコたち警察チームの活躍が描かれている旨もコメントされた。新規カットはどのような内容になっているのか期待が膨らむ。 ■レトロ&近未来のいいとこ取りな「ミルサブ」に乗車せよ! アニメ、ファッション、音楽。すべての最先端を行く、レトロとフューチャーのミクスチャーを体現した作品。新しいのに、どこか懐かしくもあり、いまっぽくてオシャレ。ファンの期待と“もっとほしい”の声に応えた注目作だ! 文/榑林史章

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