英警察がマンデルソン卿を逮捕、公務中の不正行為の疑いで 前駐米大使の労働党重鎮

オリヴィア・アイルランド記者 英与党・労働党の長年の重鎮で駐米大使も務めたマンデルソン卿が23日、公務中の不正行為の疑いで逮捕された。マンデルソン卿をめぐっては、労働党政権の閣僚時代、性犯罪で有罪とされた米富豪ジェフリー・エプスティーン元被告(故人)に、市場に影響を与える可能性のある政府情報を渡した疑いが出ている。イギリスでは公務中の不正行為の疑いで19日に、王室のアンドリュー・マウントバッテン=ウィンザー元王子が逮捕されたばかり。元王子は釈放されたが、捜査は続いている。 ロンドン警視庁は23日、同日に72歳の男性をロンドン北部キャムデンの住所で逮捕し、事情聴取のため警察署に連行したと発表した。警察声明によると、この逮捕に先立ち、イングランド南部ウィルトシャーとキャムデンの住所2カ所を家宅捜索したという。 23日午後には、マンデルソン卿がロンドンの自宅から私服警官に連行され、覆面車両の後部座席に乗せられた。 BBCの取材から、逮捕はロンドン警視庁の中央特殊犯罪部が担当したことが分かっている。警察と検察庁は協議を続けている。 警視庁は今月初め、マンデルソン卿が閣僚だった当時、市場に影響を与える政府情報をエプスティーン元被告へ渡したという疑惑について、捜査に着手していた。 アメリカ司法省が公開したエプスティーン関連資料について、マンデルソン卿はこのところ公にコメントしていない。ただし、BBCの取材から、前駐米大使は自分がどのような犯罪行為にも関与しておらず、金銭的利益を目当てに行動したこともないという姿勢だと明らかになっている。 ピーター・マンデルソン前駐米大使は、1980年代に労働党での活動を開始。トニー・ブレア氏率いる「ニュー・レイバー」運動と1997年の労働党圧勝において、重要な役割を果たした。 ブレア元首相とブラウン元首相の労働党内閣で複数の閣僚ポストを務めた後、2008年に叙勲されて一代貴族の「マンデルソン卿」となり、上院議員となった。 2024年12月にキア・スターマー政権の駐米大使に任命されたが、昨年9月、エプスティーン元被告との関係の詳細が判明したことで解任された。今月1日には、40年にわたり重要な役割を担ってきた労働党から離党した。 スターマー政権は、マンデルソン卿の大使任命に関連する政府文書を、「3月初め」から公開し始める予定だとしている。 マンデルソン卿に対する疑惑は、米司法省が1月末に追加公開した大量の資料の中に、元被告との電子メールなどが含まれていたことから発覚した。 マンデルソン卿がブラウン政権のビジネス相だった2009年当時のメールでは、「資産売却計画」を含む政策に関する首相顧問による評価内容を、元被告へ伝達していたように見える。 マンデルソン卿はまた、銀行幹部へのボーナスに対する課税措置を話題にしたほか、2010年にユーロ防衛措置が発表される当日、発表の直前に措置の実施を認めている様子だった。 エプスティーン元被告は2008年、未成年者に対する売春の勧誘で有罪判決を受け、性犯罪者として登録された。2019年には、性的人身取引の罪で訴追され、裁判を迎える前に同年、拘置施設で死亡した。 エプスティーン元被告とアンドリュー元王子による性的虐待を訴えていた故ヴァージニア・ジュフレー氏の家族は、マンデルソン卿の逮捕を受けて、「イギリス当局が意味のある行動を取り、エプスティーン文書を重視し、しかるべき緊急性をもって対応していることを評価する」とコメントした。 アンドリュー元王子はエプスティーン元被告との関係において、自分は不正行為を一切していないと一貫して否定している。 ジュフレー氏の弟スカイ・ロバーツ氏とその妻アマンダ・ロバーツ氏は声明で、「アメリカでは当局が何も動かない状態が続くだけに、この差は否定しようがない。どういう人物が関与を疑われているのだとしても、サバイバーは透明性と迅速な捜査と真の正義を与えられるべきだ」と述べた。 スターマー政権は現在、どのような政府文書の公開が可能かを警察と協議中で、今後もその協議を継続することが、BBCの取材で分かった。マンデルソン卿が逮捕された場合、政府資料の公開に影響があり得るとされていた。 政府は依然として関連文書を公開したい考え。マンデルソン卿を駐米大使にしたことについてキア・スターマー首相が任命責任を問われる中、首相官邸としては「マンデルソン卿は審査過程でうそをついた」というこれまでの説明を、当時の政府文書で補強したい意向が、BBCの取材で分かっている。 首相官邸のダレン・ジョーンズ首席秘書官は23日、下院に対し、マンデルソン卿を駐米大使に任命するための初期審査過程で官邸が行った追加質問の記録は、警察がこの文書に関心を持っているため、公開文書の第1弾には含まれないと説明した。 最大野党・保守党のケミ・ベイドノック党首は、マンデルソン卿の逮捕こそ「スターマー政権を決定づける瞬間だ」と述べた。 ベイドノック党首は、首相を「弱い」と批判し、「(首相が)この国の外交の最高位に任命した相手が警察に逮捕される光景は、今後何年も私たちの記憶に残る」と主張した。 現在、アメリカの複数の連邦議会議員が、エプスティーン元被告に関する議会調査の一環として、マンデルソン卿に質問への回答を求めている。 (英語記事 Lord Mandelson arrested on suspicion of misconduct in public office)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加