26年前の名古屋女性殺害事件、裁判の争点はどうなる?専門家の見方

名古屋市西区のアパートの一室で1999年、住人の高羽(たかば)奈美子さん(当時32)が殺害された事件で、名古屋地検は5日、殺人容疑で逮捕された安福(やすふく)久美子容疑者(69)を殺人罪で起訴した。認否は明らかにしていない。安福容疑者は、今後、公判前整理手続きを経て、裁判員裁判で審理されるとみられる。注目される公判。考えられる争点を専門家に聞いた。 元刑事裁判官の水野智幸・法政大法科大学院教授は、DNA型鑑定に注目する。現場に残された血痕のDNA型と、容疑者のものが一致したことが逮捕の決め手となった。水野教授は「犯人性を裏付ける重要な証拠で、検察側立証の大きなポイント」とみる。 一方、事件発生が四半世紀以上前ということもあり、鑑定手法や資料の保管状況に問題がなかったかどうかを弁護側が追及する可能性もあるとみる。 また、容疑者は昨年10月の出頭時、犯行をほのめかす供述をし、現場検証での説明も現場の状況とおおむね一致していたとされる。水野教授によると、自白に任意性や信用性があるかどうかも争点になりうるという。 情状面では、「20年以上、逮捕を免れていたなら、情状は悪く量刑は重い」と指摘。安福容疑者と被害者の夫、高羽悟さん(69)との高校の元同級生という関係性を踏まえ、事件に至った経緯や動機を、検察側と弁護側の双方がどう立証するかが焦点になるとみている。 一方、元検事の亀井正貴弁護士は、刑事責任能力が争点となる可能性を挙げる。元同級生という意味で、容疑者と接点があったのは、奈美子さんではなく悟さん。「妻を狙ったことに合理性が感じられない。精神状態がどうだったのか。理解できるような動機があったのか」と指摘する。 名古屋地検は容疑者の精神鑑定の結果を踏まえ、刑事責任能力を問えると判断したとみられる。公判前整理手続きの段階で、弁護側の請求で精神鑑定が行われる例もあり、亀井弁護士は「弁護側も責任能力の争点化や情状面での立証のため、今後、精神鑑定を申請することはありうる」とみる。 「理解できないような動機を挙げ、責任能力を争うことになるのか。納得できるような動機があり、情状面で減刑を求める形になるのか。いずれにせよ被告人質問がヤマ場になるだろう」と話す。(高橋俊成)

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