英アンドリュー元王子にビル・クリントン、ビル・ゲイツ……大物が名を連ねるエプスタイン文書が世界に衝撃を与えた理由

過去最大の「エリート金持ち」による買春クラブが発覚。世界のエリートやセレブが、主犯、ジェフリー・エプスタイン元被告(故人)が少女への性的虐待の罪で起訴された人物と知りながら親交した疑いがもたれている。彼らのモラルはどこへ? * * * 米司法省が「エプスタイン文書」を公開して1カ月あまりが経った。いまも全世界を揺るがせ続けている。エリート男性の秘密クラブが性的搾取をしてきた違法なシステムがおそらく世界で初めて刑事事件化され、可視化されたためだ。 300万ページに及ぶ同文書が1月末に公開されるまでは、米メディアは富豪だったエプスタイン氏とトランプ米大統領が未成年者売春で共謀したかというスキャンダルに目を奪われていた。今は違う。2月19日には英国王チャールズの弟アンドリュー・マウントバッテン=ウィンザー元王子が、一般人のように地元警察に逮捕された。ほかにも、長年クリーンなイメージを植え付けていた有名人がエプスタイン文書に名を連ねている。ビル・クリントン元米大統領、米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏、ラリー・サマーズ元ハーバード大学学長、伊藤穰一・千葉工業大学学長……。 彼らが全員、エプスタイン氏のように少女・女性と違法な関係を持ったという証拠は現時点ではない。それでも問題視されるのは、彼らが女性への性的虐待の罪に問われたエプスタイン氏に「なぜ」会い、助言を求め、メールを交わしたか、常識では考えられないからだ。 「世界で最も権力を持つ人々によるエリートクラブ」(米紙ニューヨーク・タイムズ)が、児童や若い女性を餌食にしてきた歴史は浅くない。 古代王室のハーレムや日本の大奥など、歴史的社会制度に組み込まれる形で存在してきた。近代社会で児童虐待、売買春が違法となっても(日本の売春防止法には現在、買う側を罰する規定がないが、相手が未成年の場合は摘発の対象となる)、エリートクラブが秘密裏に弱い立場の児童や女性を搾取してきた。近年、刑事訴追されたケースは、カトリック教会聖職者による主に少年に対する性的虐待事件で、被害者は米国だけで数千人、世界では数十万人に及ぶという。 今日、性的虐待や性搾取の違法性はもちろん、権力者がその立場を利用することの問題点は明らかだ。それでも、エプスタイン氏と交友を持った疑いのあるエリート、セレブの常識はどこにあったのか。

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