なかやまきんに君らも1950万円被害・元マネージャーが詐欺で実刑5年判決も「ほかにも多数」被害者が語った“手口”

「中山さんだけは200万円を返しています」 2月24日、うつむきながら東京地方裁判所・第422号法廷に現れたのは、飯尾雄一被告だ。「中山さん」とは、筋肉を武器に明るいキャラクターで人気を博し、実業家としても活躍する芸人「なかやまきんに君」のことである。 2021年に吉本興業を退所し、個人事務所「333(ササミ)」を設立したきんに君。プロテインやアパレルのプロデュース、さらには「THE POWER GYM」の監修など、その活動は多岐にわたる。広告界からも絶大な信頼を得ていた彼に、激震が走ったのは2025年8月のことだった。 「業務委託契約を結んでいたマネージャーだった飯尾被告が、詐欺の疑いで逮捕されたのです。2人の出会いは10年以上前。きんに君が独立するタイミングで、かつて大手生保に勤め、保険代理店を経営していた飯尾被告はマネージャーとして採用されました。しかし、その信頼は最悪の形で裏切られました。 2024年5月に発覚した、飯尾被告の詐欺の手口は巧妙なもので、きんに君本人から、洋服会社への投資を目的に800万円だまし取ったうえで、333から飯尾被告の会社を含めた3社に、コンサル料などの名目で約3700万円を振り込ませていました。要するに、マネージャーという立場を利用して、きんに君からカネをだまし取っていたというわけです。 しかも被害者は、きんに君だけではありません。『きんに君がプロデュースするサプリへの製造資金を出してほしい』と周囲を誘い、3億円以上のカネを集めたことも発覚しています。被害者は10名ほどで、彼らはきんに君の使用者責任をめぐって民事で争う事態に発展しています」(芸能担当記者) 結果的に飯尾被告は、きんに君及び事務所関係者3名が1950万円の被害を受けたとして、刑事事件として起訴された。 だが、被害はこれだけではないという。都内でIT企業を経営する実業家のA氏はこう語る。 「私は4500万円の詐欺被害にあいました。飯尾被告がまだきんに君のマネージャーになる前のことです」 誘い文句は、クレジットカード決済代行会社への投資だったという。 「投資先となるクレジットカード決済代行会社は、実在するものだったので、すっかり信じてしまいました。ほかにも、経営者約30名ほどから、総額30億円ほど巻きあげていました。詐欺だと気づいた後、飯尾被告の会社に行っても、もぬけの殻。顧客リストには、だました経営者の実名と投資額が記載されていました。飯尾被告は、集めたカネを持って雲隠れした後、きんに君のマネージャーへ転身したというわけです。 私は被害がわかった当初から警察に告訴状を出していたのですが、なかなか受理されませんでした。きんに君絡みの詐欺が発覚した影響なのか、詐欺が発覚してから丸5年たった2025年9月、ようやく私の告訴状が受理されました。裁判では、きんに君及びその関係者への詐欺行為と、私への詐欺行為がどちらも審理されました」 2月24日の公判では、詐欺が発覚した後、海外で悠々自適に暮らす飯尾被告の実態が明らかとなった。 紺色のジャケットにマスク姿で法廷に現れると、斜め下の一点を見つめる飯尾被告。裁判長が、A氏に対して4500万円の詐欺を働いたという起訴状を読み上げると「間違いないです」と力なく答えた。 犯行の動機について問われると「知人の借金、9000万円を肩代わりし、自身の代理店の赤字も膨らんで自転車操業になった。2020年時点で借金は4~5億円。2024年にはさらに数億円増えていた」と、耳を疑うような困窮ぶりを語り、期日までに利息をつけて返せばいいという「浅はかな考えだった」と釈明した。 飯尾被告は、きんに君への詐欺が発覚した後は、インドのニューデリー郊外に“逃亡”していた。現地の企業で働きながら、ダージリン紅茶の輸入販売事業を計画していたという。だが、手元には1円も残っていない。「1日でも早く返済したい」と口では語るものの、具体的な返済の目処はいっさい立っておらず、検察側は飯尾被告に懲役7年を求刑した。 そして、3月23日。飯尾被告にくだされた判決は、執行猶予がつかない懲役5年だった。A氏はこう振り返る。 「飯尾被告からは若干の返済を条件に、示談の申し込みがありましたが、決裂しております。先方の弁護士経由で謝罪がありましたが、3月22日時点ではおカネは1円も戻ってきていません。 詐欺の実刑は最長10年ですから、ある程度、裁判官には被害の実態を評価していただいたのかなと考えています。おカネが戻ってこない部分は残念ですが、執行猶予ではなく、しっかり実刑がついた部分はよかったと思います」 だが、まだまだ救われていない被害者がいるという。 「今回、裁判で争われたのは、きんに君らが受けた被害1950万円と、私の4500万円のみ。クレジットカード決済代行業者への詐欺事件では、ほかにも多数の被害者がいます。なかには約1億円の被害に遭い、刑事告訴の志半ばで病に倒れ、亡くなった方もいます。彼の墓前で報告できたら、と考えていますが、おカネも命も帰ってきませんからね……」(A氏) 塀の中で、自らのしたことを深く反省してほしい。

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