機械メーカー「大川原化工機」(横浜市)の冤罪(えんざい)事件で、勾留中に死亡した同社元顧問の男性(当時72)の遺族が、男性の逮捕や勾留を認めたほか、保釈請求を退けた裁判官計37人の判断は違法だったとして国に約1億7千万円の賠償を求めて近く提訴する。 元顧問の相嶋静夫さんは、軍事転用可能な機器を中国に不正輸出したとして、2020年3月、同社社長ら2人とともに警視庁に逮捕された。その後、勾留中に胃がんが見つかった。 相嶋さんは保釈を請求し、一度は保釈決定が出たが、検察側の不服申し立てで取り消された。保釈請求は計8回に及んだが保釈されず、21年2月に死亡した。その後、社長ら2人の起訴は取り消された。 遺族側は、がんの発覚後に身体拘束を続ければ、命に重大な危険が及ぶのは明らかだったと主張。相嶋さんに不正輸出の嫌疑はなく、逃亡や証拠隠滅の恐れもなかったとして「身体拘束を認めた裁判官計37人の判断は違法で、人身の自由を保障する憲法に違反する」などと主張する見通し。 相嶋さんの長男は26日、刑事裁判と身体拘束に関する集会に登壇し、提訴予定に言及した。「無実の人間を閉じ込めつづけ、外に出さない決定を繰り返してきたのは裁判官。その結果、一人の命が失われた。これは特別な人の問題ではなく、皆さん自身や大切な家族におこりうる現実だ」と語った。(森下裕介)