東京都豊島区東池袋3の商業施設、サンシャインシティ内のグッズショップ「ポケモンセンターメガトウキョー」で店員の女性が刺殺され、襲った男性も死亡した事件で、警視庁巣鴨署は27日未明、2人は東京都八王子市元本郷町4のアルバイト、春川萌衣さん(21)と元交際相手の住所・職業不詳、広川大起容疑者(26)と明らかにした。春川さんは警察に広川容疑者からのストーカー被害を相談しており、広川容疑者は2025年末にストーカー規制法違反容疑で逮捕されていた。 春川さんは25年7月にポケモンセンターで働き始め、これに反対する広川容疑者との交際を解消していた。広川容疑者は年末の逮捕時に「復縁したかった」と供述していたといい、一方的な恋愛感情が背景にあった可能性がある。 ◇首を中心に十数カ所の刺し傷 事件は26日午後7時すぎに発生。店内のレジカウンター内にいた春川さんが広川容疑者に首を中心に十数カ所を刺され、広川容疑者は直後に自分の首も刺したとされる。いずれも意識不明の重体で搬送され、病院で死亡が確認された。 当時、レジカウンター内には春川さんを含め4人ほどの店員がいたという。春川さんは首や腕に傷があり、現場にはタオルを巻いてゴムで縛った刃物が1本、血が付いたまま落ちていた。 ◇「おまえには合わない」 警視庁によると、2人は元々、八王子市内のファストフード店で働く同僚で、24年10月から交際していた。しかし25年7月、広川容疑者は、ポケモンセンターに転職した春川さんに「仕事を辞めろ。おまえには合わない」と迫り、これをきっかけに交際は破綻した。 春川さんは、その後も自宅近くで広川容疑者に付きまとわれることが5回ほどあり、12月24日深夜には、「今夜中に連絡下さい。助けて下さい」というメッセージカードとポケモンカードが玄関前に置かれていたという。 そのため、春川さんは12月25日、警視庁八王子署に相談。署員が春川さんを自宅に送り届けたところ、付近でうろつく広川容疑者を発見した。近くに止めた車の中に果物ナイフがあったことなどから、警視庁はその日にストーカー規制法違反容疑で逮捕した。その後、銃刀法違反(所持)容疑で追送検したほか、広川容疑者のスマートフォンから春川さんを映した動画が見つかったため性的姿態撮影処罰法違反(盗撮)容疑でも再逮捕した。 広川容疑者は、三つの容疑とも認め、「(ナイフは)自殺のためだった」と説明。ストーカー行為については「もうしません」と供述していたという。 ◇警視庁は母親呼び出し、見守り依頼 その後、26年1月30日に広川容疑者は、いずれの罪でも略式起訴され、罰金を納めて釈放された。警視庁はこの前日に広川容疑者に禁止命令を出し、併せて加害者に対するカウンセリングや治療を受けるように働きかけたが、拒否されていた。また最初の逮捕時に広川容疑者の母親を呼び、釈放後の広川容疑者を見守るよう依頼していた。 一方で警視庁は、春川さんには避難や勤務先の変更を助言。春川さんは2月上旬まで1カ月間、遠方の親類宅に避難していたが、ポケモンセンターでの勤務が「夢だった」といい、自宅に戻った後は仕事を再開していた。 釈放後、警視庁は3月12日まで計3回、春川さんと連絡を取ったが、「異常はない」との返答が続いていたという。 警視庁は、殺人事件として調べており、春川さんを殺害した疑いで広川容疑者を容疑者死亡のまま書類送検する方針。 相談への一連の対応については「その都度、最善の措置を取っていた」としている。【朝比奈由佳、松本ゆう雅、菅健吾、洪玟香】