※この記事はセンシティブな内容を含みます。ご了承の上、お読みください。 ある日突然、学校に行けなくなった小学3年生の勇。理由がわからず数ヶ月経った頃、おぞましい事件に巻き込まれていたことが判明し――。 漫画『性被害のせいで、息子が不登校になりました』(あらいぴろよ:著、斉藤章佳:監修、飛田桂:取材協力/KADOKAWA)は、息子の性被害を知った家族が、周りの支援を受けながら事件と向き合おうとする。けれども、自分を責める勇の具合はますます悪くなり、明るかった家族は崩壊に向かい……。 監修を務めたのは、精神保健福祉士/社会福祉士であり、西川口榎本クリニックの副院長を務める斉藤章佳氏。最近増加するSNSを通じた性犯罪の手口や、性加害者の認知の歪み、性被害を避けるためにできることなどをうかがった。 ――勇自身はSNSをしていませんでしたが、学校の友だちがSNSを通じて知り合った大人と実際に会う形になり、ふたりきりになったタイミングで性被害を受けてしまいました。斉藤さんはご自身の息子さんに「ネット上のコミュニティに黙って参加しない」というルールを設けているそうですね。 斉藤章佳さん(以下、斉藤):厳格には設定していませんが、不特定多数の人が所属するコミュニティでは個人情報のやり取りを絶対にしない、という一定のルールを設けています。うちの子は特に「注目されたい」「承認欲求を満たしたい」という想いが強いようで、学年のグループチャットで流さなくてもいいような情報をパッと衝動的に送ってしまうタイプ。それで先生から以前注意を受けるようなことがありました。それもあってルールを設けています。 ――その子の性格によって、どのようなルールを設ける必要があるのかを決めると良さそうです。 斉藤:うちの子の場合は、それを見た人がどんな気持ちになるのかを聞いています。流れてきた情報は誰の目にもつくものなので、影響力が大きい。でも、その情報を見たくない人もいるじゃないですか。そういうトライ&エラーを繰り返しながらSNSとの付き合い方を学んでいくと思います。想像力を働かせないと、大きなトラブルに巻き込まれる可能性があります。 ――大きなトラブルに巻き込まれないよう、日々の暮らしの中で子どもに伝えていくことが大切なのですね。 斉藤:はい。SNSでつながった人に呼び出されて高校生が東南アジアまで会いに行ってしまい特殊詐欺のメンバーとして働かせられていたという衝撃的な報道もありましたが、それも、小さな積み重ねが発展して、大きな事件につながっているのではないかと思います。ですから、日頃から我が子とのコミュニケーションの量と質をあげていくことの重要性を日々実感しています。 取材・文=吉田あき 斉藤章佳: 1979年生まれ。大学卒業後、国内最大規模といわれる依存症施設「榎本クリニック」にソーシャルワーカーとして勤務。現在、西川口榎本クリニックの副院長。25年にわたり、アルコール依存症、ギャンブル、薬物、摂食障害、性犯罪、児童虐待、DV、クレプトマニアなどさまざまなアディクション(依存症)問題に携わる。専門は加害者臨床で、3500人以上の性犯罪者の再犯防止プログラムに携わる。著書に『「小児性愛」という病-それは、愛ではない』(ブックマン社)、『子どもへの性加害-性的グルーミングとは何か』(幻冬舎新書)、『夫が痴漢で逮捕されました-性犯罪と「加害者家族」』(朝日新書)、最新刊に『10代のための「性と加害」を学ぶ本: 暴力の「入口」「根っこ」「しくみ」を知る包括的性教育マンガ』(時事通信出版局)などがある。