家族の埋葬さえ許されない現実 西岸地区に住むパレスチナ人

ヨルダン川西岸地区、パレスチナ自治区、5月12日 (AP) ー ヨルダン川西岸地区北部の自宅近くにある墓地に80歳のフセイン・アササ氏の遺体を埋葬しようとしたパレスチナ人家族の試みは、近くにある最近合法化された入植地のイスラエル人らによって妨害された。AP通信が入手した事件の映像と家族からの証言がそれを物語っている。 フセイン氏の息子モハメド・アササ氏によると、家族は8日に亡くなった父親の遺体を埋葬するため、イスラエル軍と調整し許可を得ていたという。 しかし葬儀の後、半キロも離れていない近隣のサ・ヌール入植地から武装した一団が現れ、その土地は入植地の所有物だと主張して遺体の掘り起こしを命じた。 「自宅で弔問を受けていたところ、村の若者が走ってきて、私たちが埋葬したばかりの墓を入植者たちが掘り返していると言ってきた」と彼は語った。 「実際、墓地に着くと、そこは入植者たちで埋め尽くされており、軍も彼らに囲まれていた」 この事件は、パレスチナ人や人権団体が以前から訴えてきた問題を浮き彫りにしている。すなわち、イスラエル市民の保護と、ヨルダン川西岸地区の大部分の未開発地における秩序維持を任務としているイスラエル軍と警察は、パレスチナ人の私有地を含め、勢力を拡大しようとする過激派入植者による暴力、強要、土地の接収を、阻止していないのだ。 アササ氏は、その墓地は自分たちが住む村の所有物だと述べた。 入植者たちがブルドーザーで墓を掘り起こすと脅したため、彼らは自分たちで遺骨を掘り起こすことに決めたという。 「こんなことは今まで一度もなかった。彼は『他に選択肢はない』と言った」と、アササ氏は父親の遺骨を掘り起こしたことについて語った。 サ・ヌールは、イスラエル占領下のヨルダン川西岸地区において最も物議を醸している入植地の一つだ。 パレスチナ人と国際社会の大部分は、入植地を違法であり和平の障害であると見なしているが、イスラエルはこの見解に異議を唱えている。 イスラエルは2005年にサ・ヌールから撤退したが、撤退に反対した地域の入植者たちは、ここを前哨基地として再建しようと何年も費やした。 イスラエルは2025年に同入植地を再認可した。 イスラエル政府は占領下のヨルダン川西岸地区での新たな入植地建設を推進しており、イランとの戦争への注目が集まる中、放火、銃撃、暴行を含む入植者による攻撃が激化している。 イスラエル軍は、現場での衝突の報告を受けて部隊が対応し、入植者の掘削用具を押収したと述べた。 逮捕者がいたかどうかについては言及しなかった。軍の広報担当者は、軍が遺族に遺骨の移動を命じたわけではなく、遺体を移送する際に彼らを保護したと述べた。 アササ氏によると、彼らは父親の遺体を近くのアル・フンドゥクミヤにある墓地へ運んだという。 一連の出来事により、彼は今後村で亡くなった人々を弔うために村人たちがどうすべきか、困惑している。 「近隣の村々を回って、埋葬場所を頼み歩くことになるのだろうか?」と彼は問いかけた。 (日本語翻訳・編集 アフロ)

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