警察官装う詐欺、大分県内3日間で8千万円の被害 県警「手口知り周囲に相談を」

警察官や検察官をかたって多額の現金をだまし取る特殊詐欺事件が大分県内で続発している。県警によると、4~6日の3日間で、新たに6件・8070万円の被害が判明。今年の特殊詐欺被害の総額は3億1130万円となり、昨年の年間額(3億1090万円)を上回った。県警は「非常事態。人ごとと思わないで警戒してほしい」と訴えている。 6件の被害者は大分市内に住む70~90代の女性。だまし取られた額は800万~1900万円で、いずれも犯人が自宅近くまで受け取りに来る手口だった。 県警によると、1550万円を失った80代女性は9月上旬、自宅に電話がかかり、「このままではあなたの電話が止まる」と自動音声ガイダンスが流れた。 案内に従ってプッシュボタンを押すと、警視庁の警察官を名乗る男が出て「暴力団組員を逮捕したら、あなたの口座にお金を振り込んでいることが分かった」と告げた。 検察官をかたる男に電話を代わるなどし「口座に入っている紙幣を調べる必要がある」「取りに行くので自宅敷地内に現金を置いておくように」などと求めた。 女性は言われた通りに金融機関で預金を引き出し、同27日、手提げバッグに入れて自宅の軒先に置いた。その後、詐欺グループに持ち去られたとみられる。 女性は男から「これは警察の捜査。誰にも話してはいけない」と口止めされ、周囲に相談することを控えていた。 他の5人も同様の手口でだまし取られた。検察官役は厳しい口調で不安をあおり、警察官役は「一緒に頑張りましょう」などと優しく励まして、言葉巧みに誘導していたという。 詐欺グループは「お金を下ろす際に銀行員に使い道を尋ねられたら、自宅のリフォーム費用に充てると答えておけばいい」などと伝え、銀行側の声かけで事件が発覚しないようにしていたとみられる。 現金を置く場所は自宅の敷地内のほか、近くの神社や公園などを指定したという。 県内の特殊詐欺被害は今年に入って171件になった。このうち警察官をかたる手法は26件で、被害額は全体の約55%に当たる1億7021万円。 県警安全・安心まちづくり推進室は対策として、着信時に自動で警告メッセージを流し、相手との会話を録音する固定電話機の導入を勧めている。 神田英樹室長は「詐欺の手口を知ることも重要。もし現金を要求されたら、家族や友人、警察など周囲の人に相談をしてほしい」と呼びかけている。

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