立憲民主党の菅直人元首相(77)は8日、国会内で記者会見し、次期衆院選への不出馬を改めて表明した。首相在任中の平成22年9月に尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖で発生した中国漁船衝突事件で、中国人船長を超法規的に釈放したことについては「大きな間違いだったとは思わない」と主張した。 この事件を巡っては、海上保安庁は巡視船に体当たりした中国人船長を公務執行妨害容疑で逮捕したが、政府は中国側に配慮して処分保留のまま釈放した。当時の民主党政権は釈放について「検察独自の判断」と繰り返し強調し、政府の関与を否定し続けてきた。 菅氏は8日の記者会見で中国人船長の釈放を自ら指示したかを問われ、経緯に関する細かい記憶は薄れていると断りつつ、「首相だから、私が指示したといわれるのは当然だ」と認めた。その上で、「あの段階の判断として(日中関係を)こじらせるよりも、ある程度の理解の中で対応したつもりだ」と説明した。 菅氏は昭和55年に初当選し、14期連続で当選。民主党政権の平成22年6月~23年9月に首相を務めた。首相として23年3月11日に発生した東日本大震災と、東京電力福島第1原発事故に対応。事故発生直後に、自ら福島第1原発や東電本店に乗り込み、結果的に混乱を招いたとの批判がある。 菅氏は当時の行動について、「私は間違っていなかった。事態を把握し、対応する上で非常に効果的だった」と強調。事故対応全般に関しても「何とか日本の危機を回避できた」と総括した。 不出馬を決めた理由に関しては「基本的には年齢の問題」と述べ、10日に78歳になることを挙げた。