打つだけで痩せる――そんな謳い文句で、若い女性を中心に大流行している『マンジャロ』。2型糖尿病の治療薬として開発された薬なのだが、食欲を抑制する効果に目をつけた美容クリニックなどで痩身目的に処方されている。 いわゆる「目的外使用」だが、腹部や太ももに押し当ててボタンを押せば薬液が体内に注入され、それだけで痩せられる手軽さが受けて爆発的に利用者が広がっている。 そんな″特需″のなか、マンジャロをめぐるトラブルに巻き込まれてしまったのが、都内に住む30代の会社員女性・Aさんだ。 「去年の10月からマンジャロを使い始め、3ヵ月で3kg以上痩せました。効果が出たのが嬉しくて、4ヵ月目から用量をそれまでの5mgから7.5mgに増やしたのですが……投与開始から1週間ほどで、それまで抑えられていた食欲が復活。それどころか、一日中甘いものを食べていなければ気が済まなくなってしまいました。 みるみるリバウンドして、1ヵ月経たずに元の体重に戻ってしまったんです。それ以上に辛かったのが、体のだるさと眠気。仕事もろくに手につきませんでした」 たまらず駆け込んだ病院で血液検査を受けたところ、下った診断は「高血糖」。医師から糖質の過剰摂取を控え、適度な運動を行うよう指導されたという。 このときAさんは、マンジャロを使用していることを医師には告げなかった。「後ろめたさ」があったからだ。 「実は、私が使っていたマンジャロは、中国発のSNS『小紅書(レッド)』で買ったものだったのです。違法に販売されているものだとはなんとなくわかっていましたが、美容クリニックなどで買うより2割ほど安いし、診察なしで自宅まで郵送してもらえるので、便利さについ……。 『小紅書』では『中国からの個人輸入なので、医師の診察がなくても合法になる』と説明されていましたが、国際郵便ではなくゆうパックで届きました。まんまと騙されたわけです……」(Aさん) マンジャロは医療用医薬品に該当し、本来は、医師の診察を経て処方されなければならない。Aさんのようにクリニックなどを通さず購入する不正流通が横行しており、社会問題となっている。 今年6月2日、大阪府警は府内や奈良県内に住む20〜30代の男女3人を医薬品医療機器法違反の容疑で書類送検した。1人はSNSを通じて女性2人にマンジャロを無許可で販売した疑い、残る2人は無許可販売を目的にマンジャロを自宅に保管した疑いが持たれている。 警察が本格的に取り締まりに乗り出す一方で、今なおSNS上ではマンジャロの不正取引を持ちかける投稿が散見される。厚労省や東京都の保健医療局などは、警告文の公表やSNS事業者への投稿の削除要請を行っているが、目立った効果は上がっていない。