ゴムボートに乗って韓国領海に密入国したとして逮捕された中国の代表的な反体制活動家、董広平氏(68)が起訴猶予処分となった。 大田(テジョン)地検瑞山(ソサン)支庁は出入国管理法違反などの容疑で書類送検されていた董氏に対し、今月10日に起訴猶予決定を下したと15日、発表した。 検察は、容疑自体は成立するものの、犯行の特殊な経緯などを勘案して不起訴にすることを決定したと説明した。検察が起訴猶予を決定した主な背景には、董氏がすでに韓国を出国して刑を執行できる可能性が低い点もある。 また、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などの国際機関が不法入国行為に対する過度な刑事処罰を懸念し、寛大な処分を求める意見書を送ったことも決定に影響を与えた。 米ニューヨークタイムズ(NYT)など海外メディアの報道によると、董氏は先月、韓国を出国してカナダに無事到着し、現地に定着していた妻や娘と再会した。 董氏は今年5月、令状実質審査のために裁判所に出頭した際にも、取材陣に対し「カナダに行きたい」と亡命の意思を表明していた。 董氏は今年5月25日午後9時36分ごろ、動力エンジンを搭載した小型ゴムボートに乗って忠清南道泰安郡(テアングン)西格列飛島(ソギョリョルビド)沖を漂流していたところ、漁民に発見され、海洋警察に逮捕された。 董氏は海洋警察の取り調べで「単なる密入国ではなく、助けを求めるために韓国の領海に進入した」と話した。 裁判所が拘束令状を棄却したことで、董氏は仁川(インチョン)の出入国・外国人支援センターに一時滞留した後、カナダ行きの飛行機に乗った。 かつて中国で警察官や軍人として勤務していた董氏は、1989年の天安門事件に関する書簡に署名したという理由で1999年に罷免され、本格的な反体制活動を始めた。 2014年に天安門事件の追悼式典に出席したことで公安に拘束されたのをはじめ、タイ、台湾、ベトナムなどへの脱出と強制送還を繰り返し、数回にわたり獄中生活もした。