元受刑囚ら雇用 再犯防ぐ協力雇用主の取り組み

「46%」これは犯罪で検挙された人のうち、過去にも犯罪歴のある人の割合、いわゆる「再犯者率」を示したものです。これを変えようという動きがあります。逮捕歴などがある人が社会復帰できるよう積極的に雇用する企業を取材しました。 住居侵入の疑いで、逮捕された小坂さん。10年以上の罪で服役した園田さん。 光進工業・細川忠広社長 「縁があって来た方は、とにかく全員雇おう。1回握った手は、絶対に放さない」 北九州市小倉北区西港町にある光進工業。主に産業廃棄物の処理や、建物の解体を行っています。社長の細川忠広さんです。 光進工業は、犯罪歴があり就職が困難な人を雇用し支援する「協力雇用主」です。北九州市内では、300社以上が登録されていますが積極的に雇う企業の数はそう多くないといいます。 光進工業・細川忠広社長 「もうすぐ10年よね」 小坂卓さん(仮名) 「そうですね、来年が10年目」 話しているのは、住居侵入容疑での逮捕歴がある小坂さん(仮名)です。 保護観察中の人などが入る更生施設にいる時に、光進工業を紹介されました。 小坂卓さん(仮名) 「僕が個人的に企業に面接に行くよりも、向こうの受け止め方も違うだろうし、過去を分かったうえで引き取ってくれるのだから、そういうところは安心」 協力雇用主の役割について犯罪学に詳しい専門家は。 神奈川大学法学部・新海教授 「刑務所から出てきた人、犯罪をした人を雇ってくれる人は、そうそうない。自分のことを分かっていて雇用してくれる人がいる。捕まって再犯をした人の話を聞くと、仕事がなかった人が非常に多い。仕事をするということは健全なコミュニティにいるということ。そのコミュニティをつくってくれている点で(協力雇用主の存在は)非常に意味がある」 光進工業が協力雇用主になったきっかけは、犯罪歴がある人の立ち直りを支援してきた細川さんの父親の存在でした。 光進工業・細川忠広社長 「父が保護司をやっていて、父親から1人保護対象者を預かってくれんかという話があって。その人(元受刑者)が、すごく真面目に働いてくれて。そんなに受刑者の方って、悪い人というか、怖い人ばっかりではないんだなと知って」 ところがその後、元受刑者は再び犯罪に手を染めます。 光進工業・細川忠広社長 「入院先で、魔が差したのか隣のベッドの方の財布に手を出してしまって。現行犯で捕まって留置所に入った。もうクビでいいよね?関わりたくないんだと、言ってしまった。もう1回戻ってこいよと、言ってやれなかった自分に対し後悔して。縁があって来た方は、とにかく全員雇おうと」 国内の再犯者率が5割近くに上るなか細川さんは、自身が雇う人たちの再犯をゼロにしたいと考えました。 まずは勤務シフトの工夫。 光進工業・細川忠広社長 「長い連休になると悪いことをしてしまうので、4連休あるとしたら2連休の後に仕事を入れて、また2連休など分けたり」 特に業務がない場合、勤務扱いで社屋や駐車場の清掃をしてもらったそうです。 次は、誰でも長く働ける環境の整備。社屋前にあるポストには、新たに立ち上げたグループ企業の名前が記されています。 体力面や年齢など、あらゆる立場の人が働けるようにと「道路整備」「清掃」「コインランドリー」など業種を広げたといいます。さらに。 光進工業・細川忠広社長 「衣・食・住を気を付けて見ている。自前で、寮を作って彼らの生活の場を提供しようということで、寮を建てた」 産業廃棄物の運搬を担当する園田さん(仮名)は、過去に11年間服役しました。長期の刑務所生活で社会復帰に不安を感じるなか「仕事」と「寮」があったことで、暮らしの基盤を築けたといいます。 園田さん(仮名) 「会社に寮があったというのが大きな点。雇ってくれるところがなければ、どうしようもないので、そういう点では本当にありがたい」 この従業員寮は朝・晩の食事付きで、できるだけ規則正しい暮らしを促しています。 園田さん(仮名) 「自分で住宅を探すとなると、費用もかかりますし、ある程度貯めていたけれど、それではちょっと追いつかないぐらい費用がかかる。でもここの寮は、家電もついている。エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、自分で住むとなると、それだけそろえないといけない」 「決して再犯させない」という取り組み。 これまでにグループ企業を含め元受刑者らを80人雇用し、在籍中に再犯した人は 「最初の1人」だけだったといいます。細川さんは、衣食住や生活リズムを整えることが重要と気付いたそうです。 光進工業・細川忠広社長 「まずは対象企業(協力雇用主)が増えることが重要。この輪が広がってくれることが重要」

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