米西部最大都市のロサンゼルス(LA)で7日(現地時間)に発生した山火事が3日間続き、被害が急速に拡大している。 CNNなどによると、9日午後9時を基準にロサンゼルス郡では5件の大規模な山火事が広がっている。今回の山火事で地域住民18万人に避難令が出され、少なくとも10人の死亡が確認された。ロサンゼルス郡のロバート・ルナ保安官はこの日の記者会見で「率直にいうと我々は(正確な死者数を)まだ把握できていない」と述べた。山火事の残骸を収拾する過程で死者数と被害規模がさらに増える可能性があるからだ。 消防当局によると、最も深刻なパリセーズとイートン地域の鎮火率はそれぞれ6%と0%だ。この2件の山火事による焼失規模だけでサンフランシスコ(121平方キロメートル)の面積より広い約136平方キロメートルにのぼる。住宅と建物の損失も1万棟を超える。 有名人の高級住宅にも相次いで被害が生じている。元メジャーリーガーの朴賛浩(パク・チャンホ)さん、ジョー・バイデン米大統領の次男ハンターさん、俳優アンソニー・ホプキンスさん、ヒルトングループ相続人パリス・ヒルトンさんらの自宅が全焼した。 3日間続く山火事で大気は灰と煙に覆われ、8日にロサンゼルス全域に発令された煙注意報は10日午後5時まで延長された。ロサンゼルス郡のデービス保険担当官は声明で「煙と灰は害を及ぼすことがある」し、不必要な外出を控えるよう呼びかけた。 一部の地域では飲水注意報も出され、被害が加重している。ロサンゼルス水資源電力局はパリセーズをはじめ西部地域に「煮沸使用勧告」を出した。火災鎮圧に必要な水の供給過程で上水道施設に多くの灰が入り、水質が悪化しているからだ。このため一部の地域ではミネラルウォーター買い占め現象まで表れたという。 現地では住民が避難する中、空き巣を狙った窃盗や放火事件も増えている。捜査当局は山火事発生以降、放火や略奪などの容疑者を相次いで逮捕した。NBCは10日、イートン地域で発生した窃盗事件を報道し、担当警察官の言葉を引用しながら「家に警報機やセキュリティーカメラが設置されていたが、(山火事の影響で)電源が遮断され、まともに作動しなかった」と伝えた。現地警察は閉鎖道路に人員を配置して巡察を強化した。 今回の山火事による被害額が過去最大になるという見方も出ている。ウォールストリートジャーナル(WSJ)は9日、JPモルガンを引用し、ロサンゼルスの山火事による経済的損失が現在まで500億ドル(約8兆円)に達すると推定されると報じた。前日の推定値から一日に倍に増えた規模だ。WSJはこのうち保険会社が負担する被害金額を200億ドル以上と推算した。米国で発生した山火事のうち現在までの最高保険損失額は2018年の北部カリフォルニア州山火事当時の125億ドル。 この日、バイデン大統領は今後180日間にロサンゼルス山火事対応にかかる費用100%を連邦政府が負担することを含む追加支援策を発表した。カリフォルニア州政府はロサンゼルスに午後6時から午前6時まで通行禁止令を発令し、違反時には最高6カ月の懲役刑または1000ドルの罰金を科すことにした。