2025年9月、東京・世田谷区で、交際相手だったバン・ジウォンさん(当時40歳)にストーカー行為を繰り返した末、ナイフで刺して殺害した韓国籍のパク・ヨンジュン被告(31)。殺人とストーカー規制法違反の罪に問われ、東京地裁は2026年9月4日、拘禁刑20年を言い渡した。 警察は「当時、被害者の意向を踏まえつつ安全確保に向けた措置を講じていたものと考えている」と逮捕時の見解を出している。阪口采香弁護士は「被害届が出されていなかったというところで、ストーカー規制法違反ということ自体は法律的に言うと非親告罪。なので被害届がなくても捜査はしていけるが、当時、去年の8月末と9月の当時だとストーカーに対する警告とか禁止命令というのは、被害者からの申し出がないとできなかった」と解説。 「それが去年の12月に改正されて職権でもできるようにはなったが、去年のこの事件の段階でできなかった。というところで被告に対して直接連絡は取らないという上申書を出させている、という経緯だとは思う」(阪口弁護士)。 続けて「被害者が事件化を望んでいなかったこともあった。こういったストーカー規制法の事案というのは、もともと知人間で起こりやすい。警察が踏み入る段階に入っているのか、そうでないのかという見極めが非常に難しい。(警察は)被害届がなくても動けるが、実際問題としては被害届が動くかどうかの線引きにはつながってくる。事件化を望んでいなかったというところが、今回は動きづらかったきっかけにはなっていると思う」と推測した。 一方で、問題点も浮き彫りになっている。1つ目は、バンさんを避難させたが「予定」は漏れていたこと。バンさんが交番にいた時、パク被告はバンさんのスマホを確認し、犯行前日に下見をしている。2つ目は、パク被告の「帰る」を信じて「送る」で終わったこと。警察が成田空港でパク被告の保安検査場通過を見届けたものの、パク被告がその後予約を取り消し、バンさん宅近くのホテルに滞在していた。 阪口弁護士はこの予定が漏れていたことについて「交番に行った時に、すでにバンさんはスマホと鍵をパク被告が持っていることを伝えてはいた。その中でストーカーをする人というのは携帯も見るし、携帯を仮に持っていたとしても、家にパソコンとか電子機器、予定が入っている電子機器があったらそれも見る。なので、家にそういったものを置いてきていないかどうか、見られているんじゃないか。パク被告が家に行って入っているんじゃないか、というところまで踏まえて『予定があなた漏れていますよ』というのもしっかりと伝えて、事の重大性というのをしっかりとお伝えして、今の事態を『重大なんです』と伝えた上で、予定が漏れているという前提で行動することがまずは大事だったのではないか」と指摘。 パク被告が飛行機をキャンセルして戻ってきたことについては「保安検査場を通っているところまで見届けているので、『これは乗って帰国するだろう』と思ったとしても、この件だけで言うと当時の対応としては接近禁止命令を出せていない中で、最大限やったのかなとは思う」とコメント。 その上で「この件がきっかけで、保安検査場に入ったとしても、航空券を取り消して戻ってくることができてしまう。ストーカー行為する人はそういうことまでするんだ、ということが全国的にわかったと思うので、これを機に飛行機が離陸するまでは、成田空港、羽田空港に滞在して、出てきたらすぐに対応・行動を取ることが必要になってくるのではないか」と提言した。 ※本記事で紹介している弁護士の見解は、事件当時の状況を踏まえたものです。実際の対応や法的判断は、個別の事情によって異なります。 (『ABEMA的ニュースショー』より)