米国のトランプ政権から制裁対象に指定されている国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)の赤根智子所長。その制裁の即時撤回などを求めたオンライン署名は、9月16日時点で16万9千筆を超えた。署名を立ち上げた元教え子たちが、赤根さんへの思いや「法の支配」の意義について語った。 * * * 9月6日に行われた認定NPO法人「CALL4」主催の講演会にオンラインで登壇したICCの所長・赤根智子さんは、最初にこう話をした。 「私の制裁をきっかけに、私のロースクールでの教え子が中心になって署名を立ち上げてくれました。今14万筆を超えている状況を確認しております。これは単なる数ではありません。一人ひとりの日本人の方々が日本の中から、あるいは海外の方もいるかもしれません。何か行動しなくてはという気持ちで、お一人お一人名前を書いていただいたと認識しています。これは私、そしてICCに大きな力を与えてくれています」 ICCとは、戦争犯罪やジェノサイド、人道に対する罪などを犯した個人を、ローマ規程に基づいて裁く国際裁判所。日本を含め125カ国・地域が締約国となっているが、大国であるアメリカ、ロシア、中国などは加わっていない。本部はオランダのハーグにあり、2002年に設立された。 赤根さんは18年3月から裁判官としてICCで働き、24年3月に日本人としては初の所長に就任した。任期は27年3月まで。 個人の刑事責任を追及することを通じて国際社会における「法の支配」を支えているICCだが、「力の支配」を推進する大国にとっては、うっとうしい存在である。 23年3月にICCがウクライナ侵攻をめぐる戦争犯罪容疑でロシアのプーチン大統領らに逮捕状を発行すると、ロシア当局はICCの検察官や裁判官らの捜査に着手し、同年7月、赤根さんを指名手配した。さらに25年12月には、モスクワの裁判所が赤根さんを含むICCの検察官・裁判官9人に対し、欠席裁判で有罪判決を言い渡している。 アメリカのトランプ大統領は、1期目にもICCの当時の主任検察官らを制裁の対象とするなど、ICCに対して一貫して厳しい姿勢をとってきた。24年、ICCがパレスチナ自治区ガザでの戦闘をめぐり戦争犯罪、人道に対する犯罪の疑いで、イスラエルのネタニヤフ首相らへの逮捕状を請求し、同年11月に発付されると、その姿勢をさらに強めた。