「どこに被害者いるのよ?」 アレフ内部音声を独自入手 松本元死刑囚の次男発言に被害者ら怒り 元最高幹部が初証言【スポットライト】

オウム真理教の後継団体「アレフ」を巡り、FNNは教団内部のオンライン会議の音声約19時間分を独自に入手した。音声には、かつての教祖・松本智津夫元死刑囚の次男とされる人物が、被害者弁護団の正当性を疑問視する発言などが記録されていた。さらに、長年にわたり教団中枢にいた元最高幹部が初めて取材に応じ、組織運営の実態を証言。地下鉄サリン事件から30年以上が過ぎた今も続く教団の実像を追った。◆今も活動続く「アレフ」FNNが新たに入手した、オウム真理教の後継団体「アレフ」のオンライン会議を記録した音声。声の主は、松本智津夫元死刑囚の次男とされる人物だ。14人が死亡、6000人以上が負傷した、地下鉄サリン事件など、未曽有のテロを起こしたオウム真理教。事件の首謀者として、松本元死刑囚らが逮捕されたが、教団はその後、「アレフ」などに形を変え、今も活動を続けている。◆被害者集会を批判する音声近年、公安当局が教団運営を主導しているとみているのが、「二代目グル」を自称しているとされる松本元死刑囚の次男。フジテレビは12年前に、独自に直撃している。次男:なにが危ないの?ここ20年なにも一切起こしてないのに。去年10月には、次男が教団の会議で発言しているとされる音声を独自に入手し、直撃した際の音声と「同一人である可能性が高い」との鑑定結果を報じた。記者:今回新たに入手したのは、5年分の音声ファイル。およそ19時間分に及びます。その内容は、教団の運営や公安調査庁への対応、そして、被害者への賠償をめぐる、生々しいやりとりでした。一番古い音声ファイルは2018年のもの。松本元死刑囚の死刑が執行される1週間前のやり取りだ。次男:(被害者)集会開催に係る諸経費はどうなってるんでしょう。こんなところにお金を使っていたら、被害者に対してやるべき配当金は目減りしますよね。もう支援機構に送金することはたぶん、金輪際ありません。「支援機構」とは、被害者への実質的な賠償金の回収を進める「オウム真理教犯罪被害者支援機構」のこと。この支援機構が主催する被害者集会を批判し、「送金しない」との趣旨の発言をしている。実際、この年から、アレフは支払いを停止している。さらに、別の音声では――。信者:被害者弁護団に対する、お金を渡すことが宗教的に容認できないということが背景にあると思う。次男:被害者弁護団っていうか、どこに被害者いるのよ?そういうときは、「自称被害者弁護団」とかね。被害者弁護団の正当性を疑問視する発言まで記録されていた。◆初めて取材に応じた元幹部発言の主は、本当に松本元死刑囚の次男なのか。私たちは今回入手した音声についても、専門家に声紋鑑定を依頼。今回の音声と、去年入手した音声の主が同じか比較。その結果、同一人物の音声と推定した。そして、公安調査庁が「資産隠し」と指摘するオウムの関連企業の報告については-。次男:報告出すってのは、相手に屈服するってことなんですよ!この切迫した状況わかってる?明日提出日だよ!支援機構への不払いに言及し、公安調査庁への対応を具体的に指示する肉声。私たちは、こうした次男の教団支配の実態を、最もよく知るという人物に接触し、重大な証言を得ることができた。向かったのは、関西地方。記者を迎え入れた、この男性は長年、アレフの最高幹部を務めてきたが、去年脱会したという。草木に覆われた広い敷地を、玄関まで歩いて行く。以前は教団の施設だったこの民家に、一緒に脱会した元信者ら数人と暮らしているという。灯籠の中には、侵入者を警戒する監視カメラもあった。長年、次男を支えてきたという男性。今回、交渉の末、はじめて報道機関の取材に応じた。元幹部の男性:鶏なんてね、3年したらいきなり死ぬの。だから、残りの人生を、もうこんな次男とかオウムとかね、そんな費やせるわけないじゃない。教団を離れたが、この建物には今も、教団との緊張関係を物語るものが残されていた。共有スペースに、男性が貼ったこんな貼り紙が――。元幹部の男性:「出ていけ」って言ってから、盗聴器を仕掛けてるのが分かったんですよ。みんなに周知させて、見つけたら警察に連絡するようにっていうことで。家屋の2階にあがると、個室が。現在もアレフの信者が私物を置いて、鍵も管理しているということで、男性は「教団に監視されている」として、立ち退きを求める裁判を起こしている。◆「やってることめちゃくちゃ」長年、最高幹部の立場にいた、この男性。松本元死刑囚の妻に頼まれ、次男が二十歳のころから支えてきたものの、その振る舞いに嫌気が差したという。元幹部の男性:実際もう、やってることめちゃくちゃですからね。麻原(彰晃)に怒られても嫌な気分になったことないんですよ。もう次男は敵のように攻撃してくるんですよ。最高幹部の立場も名ばかりで、実権はなかったと話す。元幹部の男性:最高幹部といっても、傀儡ですよ。単に言ったことを伝えているロボットみたいな。男性によると、次男の方針に従えない幹部たちは、次々と教団を離れているという。さらに実質的な賠償金の支払い停止については――。元幹部の男性:被害者の賠償しないっていう。よくよく言うのは「屈するな」。公安調査庁が言ってきたことに屈しない、支援機構が払えって言っても屈しない。(オウム真理教が)やったことがひどすぎるからね、当然、心から謝罪して。当然、誠意はね、見せるべきだと思うし。◆被害者「あまりに身勝手」オウム事件の被害者は、今回の音声をどう受け止めるのか。永岡弘行さんは、オウム真理教の信者から猛毒ガスのVXで襲撃を受け、意識不明の重体で生死をさまよった。今も右半身に麻痺が残っている。永岡弘行さん:一口では言い表せないけども、あまりにも身勝手。直接ね、私は、次男と話をしてみたいという思いがないと言えば嘘になる。話してみたい。次男の指示で被害者支援機構への支払いを停止したとされるアレフ。2020年には最高裁で支援機構への10億円あまりの支払いを命じる判決が確定している。私たちは音声の内容をただすため、アレフに質問状を送った。これに対して、アレフは「一連の事件の被害者の方々に対する補償につきましては、これからも継続していく所存です」とした上で、「機構がアレフに請求しているのは、贈与としての財産であって、そもそもオウム真理教事件の被害者に対する賠償金・配当金ではありません」などと回答した。この回答に支援機構の中村裕二弁護士は「事実経過をまったく無視した都合のいい解釈」とコメントした。賠償責任に背を向けるようになった教団。その方針を、かつての教祖の息子が推し進めている実態を注視する必要がある。(「イット!」10月21日放送より)

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