貸金庫から顧客資産を窃盗していた三菱UFJ銀行の元行員が、ついに逮捕された。今村由香理容疑者(46=写真)は4年半の間、自身が管理責任者をしていた貸金庫から金塊や現金など、およそ14億円相当の金品を繰り返し盗み出していた。 在籍25年以上のベテランの今村容疑者は短大卒業後、合併前の東京三菱銀行に一般職で入行。その後、試験を受けて管理部門の総合職として勤務。資金は競馬やFX(外国為替証拠金取引)などに充てられ、消費者金融にも借金を抱えることに。FXの損失だけで10億円にのぼるという。 FXは証拠金(元本)をもとに米ドル/日本円などの通貨ペアが、国内業者で最大25倍(個人口座)、海外業者だと1000倍程度のレバレッジをかけて取引が可能。そのため、極めてギャンブル性が高く、投資家の多くが退場を強いられている。今村容疑者は海外業者を利用していた。 「勝っているトレーダーでも相場の急変動で大きな損失を出して、突然退場してしまう人も少なくない世界です」 こう話すのは、YouTubeチャンネル「オレ的ゲーム速報JINFX・株投資部」(登録者数20万人超)を運営する、投資系インフルエンサーJINさん。JINさん自身、現在FXで2億円近い損失を抱えているだけに、「FXに近づくべからず」と警鐘を鳴らす。 「私は日本銀行の目的が『物価の安定と金融システムの安定を図ること』と公式HPにあることから金融正常化を信じてドル円を売って(米ドルを売って日本円を買う)いました。世界中の中央銀行がインフレで利上げをする中、日銀だけが利上げをせず(遅れている)、記録的な円安で(ポジションと逆行し)巨額の損失を抱えています」 FXは自分に自信がある人ほど、戦略を変えられず資金管理がずさんになり、失敗しやすいと話す。 「思惑が外れた際には損切りすること。私も早くFXをやめたいです」 欲に目がくらみ、負けが込んで取り返そうと損切りができず、ナンピン(買い増し・売り増し)を繰り返しハイレバ(高いレバレッジ倍率)で取引するほど、瞬く間に資金は溶けてなくなりやすい。それでもFXをやりたい人にこう忠告する。 「高リスク・高リターンの投資で、成功するには十分な知識と経験が必要。でも、はっきり言ってやらないほうがいいですね。それでも挑戦したい人はリスクを理解し、慎重に取り組むことをお勧めします」(JINさん) 盗んだカネまで溶かしてしまったら、人生一巻の終わりだろう。