江別大学生暴行死事件で16~18歳の少年ら4人起訴…「10代の少年だから許される」は大間違い【「表と裏」の法律知識】

【「表と裏」の法律知識】#265 昨年10月、北海道江別市の公園で20歳の男子大学生が集団暴行を受け、死亡する事件がありました。大きなニュースになったのでご記憶の方も多いでしょう。 この事件では、暴行に加え、クレジットカードの入った財布を奪ったとして6人が逮捕され、20歳の2人はすでに起訴されていましたが、15日、残る4人も強盗致死や詐欺の罪で起訴されました。この4人は、報道によると16歳から18歳までのアルバイト従業員や高校生だそうです。 一般に10代の少年が犯罪の容疑者になった場合、起訴はないと考えられがちですが、そんなことはありません。 少年が犯罪の容疑者になった場合、通常は家庭裁判所で事件を処理します。家庭裁判所は、少年を更生させるために適切な処分を決める場所で、この場合は前科がつくことはありません。しかし、事件が重大であったり、少年の年齢が18歳以上だったりする場合には、大人と同じ刑事裁判を受けることがあります。このとき、家庭裁判所から事件を再び検察に送る手続きが行われます。一度検察が家庭裁判所に送った事件を、家庭裁判所が検察に戻すことになるため、この手続きは「逆送」と言われています。 今回は強盗致死罪が疑われる重大事案です。逆送され、検察が起訴し、4人は今後、裁判員による刑事裁判を受けることになります。 このように、少年だからといって刑事責任を免れられるわけではなく、大人と同様に扱われることもあるのです。 また刑事責任だけでなく、民事責任についても、少年であるからといって免れられるわけではありません。被害者を死亡させた場合の損害賠償額は1000万円を超えることも珍しくなく、少年本人が被害者やその遺族に対して到底返しきれない金銭的な債務を負うこともあるのです。 家庭や教育現場で子供に「責任ある行動」を教えることがますます重要になっているといえます。 (髙橋裕樹/弁護士)

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