悪質な運転に適用される『危険運転致死傷罪』について、適用のハードルが高く「一般常識とのギャップがある」という声も上がってるなかで今、“要件見直し”の議論が行われています。 交通事故で息子を亡くし『危険運転』の適用を訴えてきた遺族を取材しました。 ■危険運転致死傷罪について考える 新潟市東区の母親(63歳)は、当時高校2年生だった次男・梁川晋男さんを事故で亡くしました。 2006年4月21日のことです。 それ以来、月命日には必ず、仏壇の前で手を合わせていると言います。 「21日にお寺さんが来てくださってお経を聞くと、息子自身に向き合えるというか、そういう時間になっているかなと思います」 晋男さんの部屋も見せてもらいました。 ゴミ箱に捨てられたメモや、部活で使っていたバレーボールなどが、今もそのまま残っています。 「あの子もこの部屋に帰ってきたかっただろうなって」 あの日の朝は、雨が降っていました。 いつもと何も変わらない朝の光景…。 「雨ならバスで行きなね」 「分かった ―」 これが、晋男さんとの最後の会話になりました。 【記者リポート (当時)】 「車はポールをなぎ倒し、高校生2人をはねました…」 事故の現場は、晋男さんが通っていた高校の目の前。 バレーボール部の練習が終わり、友達と帰宅しようと自転車に乗っていたところ、車が猛スピードで歩道に突っ込んできたのです。 救急車の中で痛みで叫び声をあげる姿を、母親は今でも覚えていると言います。 「落ち着いたのかなと思っていたんですが、私たちが呼ばれて残念ながら亡くなりましたと ―」 「頭が真っ白になって、処置台の方を見たら、真っすぐ上を向いて目をつむって、眠っているような息子がいて…」 母親によると晋男さんは、気管を激しく損傷して呼吸ができなかったそうです。 一緒に巻き込まれた友人は3か月間意識が戻らず、今も車いすで生活するなどの障害が残っているといいます。 警察は『危険運転致死傷』の疑いで、当時25歳の運転手を逮捕しました。