尹大統領、現職として初の拘束…裁判所「証拠隠滅の恐れ」

内乱の容疑がかけられている尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が拘束された。現職大統領の拘束は憲政史上初。 ソウル西部地裁のチャ・ウンギョン令状当番部長判事は19日、内乱首謀および職権乱用・権利行使妨害の疑いが持たれている尹大統領の拘束令状を発行し、その際、「容疑者が証拠を隠滅する恐れがある」と述べた。尹大統領の拘束令状実質審査は、令状の当番となっていたチャ部長判事の審理で、前日午後2時から午後6時50分まで、休憩時間を除いて4時間30分間にわたって行われた。 尹大統領は当初、ソウル西部地裁に拘束令状が請求されたら令状実質審査に出席しないとの立場だったが、弁護団の説得で翻意して出席し、法廷で40分ほど自ら釈明したという。 令状実質審査では、公捜処の複数の検事がまず拘束の必要性を強調した。公捜処は拘束令状でも、尹大統領は「典型的な確信犯」だと指摘していた。公捜処の検事は令状実質審査でも、尹大統領は不正選挙疑惑に確信を持って非常戒厳を宣布したため、いつでも極端な行為を繰り返す可能性があると主張したという。また、尹大統領が釈放さた場合の、自らに不利な供述や行動をした人物に報復する危険性も懸念したという。公捜処のプレゼンテーションは70分間にわたって行われた。 尹大統領側はキム・ホンイル、ソン・ヘウンの2人の弁護士が弁護にあたった。尹大統領の弁護団は、非常戒厳宣布などは罪にならないだけでなく、公捜処には内乱罪の捜査権がないうえ、ソウル西部地裁には公捜処が請求した拘束令状を発行する管轄権がないと反論したという。また、15日の公捜処による尹大統領の逮捕は、軍事上の秘密を要する場所はその責任者の承諾なしには捜索できないと規定した刑事訴訟法110条に違反しているため違法だと主張したという。尹大統領側の反論も公捜処と同様、70分間にわたって行われた。 その後は、尹大統領が自ら釈明した。尹大統領は、非常戒厳を宣布せざるを得なかった理由と、非常大権の行使は内乱罪で処罰できないという主張を主に展開したという。尹大統領の発言後、20分間の休廷をはさんで再開された審査は、午後6時50分まで続いた。尹大統領は審査終了前にも5分間、最後の陳述をおこなったという。 公捜処側からは、15日の尹大統領の逮捕当日に取り調べを担当した捜査4部のチャ・ジョンヒョン部長検事ら6人の検事が出席した。尹大統領側の弁護人はキム・ホンイル、ユン・ガプクン、ソン・ヘウン、ソク・トンヒョン、チャ・ギファン、ペ・ジンハン、イ・ドンチャン、キム・ゲリの8人が出席した。 尹大統領の弁護団のユン・ガプクン弁護士は令状実質審査後、記者団に対し、「(尹大統領は)事実関係や証拠関係、法理の問題について誠実に説明し、答えた」とし、公捜処が主張する再犯の危険性については、「話にならないと明確に説明した」と述べた。公捜処の検事は、記者団の質問には何も答えなかった。 拘束期間は逮捕の時点から最長20日であるため、この期間内に起訴が実現する見通しだ。15日から20日目に当たるのは来月3日だが、逮捕適否審に要した期間を除かなければならず、尹大統領側が拘束の適切さを争う拘束適否審を申し立てる可能性もあるため、起訴日はそれより遅れる可能性もある。 公捜処は大統領の起訴権がないため、起訴のためには事件を検察に移牒しなければならない。検察と公捜処はすでに、裁判所に拘束期間の延長を申請しなければならない拘束10日目以前に、事件を検察に送付することで合意している。そのため、公捜処は旧正月連休前に尹大統領を検察に移牒するとみられる。 チョン・ヘミン、キム・ガユン記者 (お問い合わせ [email protected] )

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