(ブルームバーグ):シンガポール議会は4日、国外から流れ込む煙害への対策を強化する法改正案を可決した。インドネシアで深刻な森林火災が続き、シンガポール国内が数週間にわたって煙霧に覆われたことを受けた措置だ。数時間にわたる審議を経て成立した改正法は、火災につながる行為に関与した疑いのある企業や個人と取引する事業者に対し、取引制限や罰金を科す措置などを盛り込んだ。シンガポール国内での逮捕も可能になる。煙害を引き起こす火災の原因をつくったり、それに加担したりした場合の罰金は、上限を1日当たり10万シンガポールドルから100万シンガポールドル(約1億2400万円)に引き上げる。総額の上限も10倍の2000万シンガポールドルとする。フー持続可能性・環境相は4日の議会で、「最近の煙害を踏まえると、現状を維持できないことは明らかだ」と述べた。「情報を入手・検証し、複雑な企業関係を追跡するとともに、刑事訴追が困難な場合でも、違反した事業体に実効性のある制裁を科すための、より良い手段が必要だ」と語った。インドネシアの火災による汚染はここ数カ月、地域一帯に広がり、シンガポールでは大気質が一時、非常に不健康とされる水準まで悪化した。煙霧はインドネシア国内で抗議活動を引き起こしたほか、マレーシアやフィリピンにも広がり、学校の閉鎖や空気清浄機の需要増加につながった。今回の法改正は、季節的に発生する火災を巡り企業の責任を追及するシンガポールの最新の取り組みだ。こうした火災は農地開発に伴う野焼きなどが原因となることが多い。今年は強いエルニーニョ現象によって乾季が一段と厳しく長期化し、問題が深刻化した。最近は降雨量が増え、大気質は改善している。独立系シンクタンク、シンガポール国際問題研究所(SIIA)のサイモン・テイ理事長は、「罰則は金銭的なものだけではない。こうした措置は商業活動や資金調達を制限・拒否するためにも利用でき、事実上、その会社を企業社会から排除することができる」と述べ、「一方で、予防、立証、罰則が法の支配に従って公正に行われることを確保するためのセーフガードも設けられている」と語った。