兵庫県警が22日にX(旧ツイッター)に投稿した、SNS上の誹謗(ひぼう)中傷への注意を呼びかけるメッセージが広く拡散されている。「いいね」は投稿から1日で2万を超えた。県の告発文書問題以降、誤情報や中傷が飛び交っている事態を背景に、一歩踏み込んだ対応を取った形だ。 県警は22日午後5時、Xの公式アカウントで【SNSを利用の皆様へ】と題して投稿。「確たる証拠がないのに、推測・憶測で人を傷つけるような書き込みをするのはやめましょう」(原文ママ)と呼びかけた。 続いて「それが正義感に基づくものであったとしても、刑事上・民事上の責任が生じる場合があります」と注意を促している。 この投稿を他の人が再投稿する「リポスト」は23日午後までに1万件を超え、広がりを見せている。 県警によると、臆測で人を傷つけたり陥れたりする書き込みをした場合、刑事事件として名誉毀損(きそん)や信用毀損、侮辱罪などに問われる可能性がある。 実際に県警では昨年の1~11月、SNSやプロフィルサイトといった「コミュニティーサイト」を通じた脅迫、強要、名誉毀損、侮辱の容疑で計20件の被害届を受けたという。 民事の場合でも、損害賠償請求などで提訴されることが想定される。 投稿した県民広報課は「発信を通じてSNS環境を良くしていきたい」と狙いを説明する。 県警の問題意識は、今月20日にあった県議会の警察常任委員会で村井紀之・県警本部長が発した言葉からも見て取れる。 「全くの事実無根。明白な虚偽がSNSで拡散されていることについて、極めて遺憾だ」 県内では18日、昨秋の知事選後に県議を辞職した竹内英明氏(50)が死亡した。県警は自殺とみている。 竹内氏は、斎藤元彦知事らを内部告発した元西播磨県民局長(故人)の文書について調べる県議会調査特別委員会(百条委員会)の委員を務めていた。 竹内氏の死去後、知事選で自ら立候補しながら斎藤知事を支援した政治団体「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首がXやユーチューブ動画で「兵庫県警からの継続的な任意の取り調べを受けていました」「どうも明日逮捕される予定だったそうです」などと発信していた。 村井本部長はこうした経緯を念頭に「(竹内氏を)被疑者として任意の調べをしたこともなく、ましてや逮捕するといった話はない」と明確に否定した。個別の事案に関する捜査の有無を県警のトップが言及するのは極めて異例だ。 SNSの利用をめぐっては斎藤知事も22日の定例記者会見で「心ない誹謗中傷などはしないで」と発言。中傷対策としてSNS条例の制定についても「議論を進める」との考えを示した。(小田健司) ◆悩みの相談先 【】 0120・061・338 24時間受け付け 【いのちの電話】 0120・783・556 毎日午後4~9時 【生きづらびっと】 LINE@yorisoi-chat 【あなたのいばしょ】 オンラインのチャット相談 https://talkme.jp/